2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規転写因子DEC1および膜トランスフェリンによる間葉系幹細胞の軟骨・骨分化誘導
Project/Area Number |
15591966
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
河本 健 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (50224861)
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Keywords | DEC1 / DEC2 / MTf / mesenchymal stem cell / osteogenesis / chondorogenesis / adipogenesis / circadian rhythm |
Research Abstract |
関葉系幹細胞を骨に分化誘導すると、誘導後5日目からDECの発現が上昇し始め、14日目でピークに達した。この発現パターンは、骨特異的遺伝子のパターンとよく似ていたので、ウィルスベクターを用いてDEC1を関葉系幹細胞で強発現させ、その影響について検討した。DEC1の強発現によって、骨特異的な遺伝子のいくつかの発現が上昇し、さらに細胞外基質の石灰化の促進も認められた。逆に、関葉系幹細胞を脂肪細胞に分化誘導をかけるたところ、誘導後3日目から7日目にかけてDEC1の発現が減少した。そこで、同様にDEC1を強発現させた関葉系幹細胞を分化誘導したところ、脂肪分化が抑制された。しかし、この抑制効果は、分化誘導後7日目までで、14日目にはその抑制効果が認められなくなった。これらのことから、DECは骨・軟骨特異的な転写因子と協調して分化誘導に関与する一方で、脂肪分化を抑制し、分化方向の決定後の初期において重要な働きをしていることが明らかになった。 また、関葉系幹細胞と線維芽細胞の違いについて解析したところ、DECの発現が、関葉系幹細胞において約10倍高いことが明らかになった。さらに、血清刺激を加えることによって培養系での概日リズムを誘導したところ、DECの発現も、関葉系幹細胞において発現レベルだけでなく、振幅の大きい明瞭なリズムを示した。これらの知見は、骨・軟骨の成長において、生体の概日リズムが重要な働きを担うことを示唆している。次にDECの作用メカニズムについて検討した。DECは、時計遺伝子のマスター因子であるBMAL1に直接結合して、その活性を抑制することが明らかになった。このような機構によって、DECは自身の発現を調節すると同時に、様々な遺伝子発現のリズム形成に関与していると考えられる。
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Research Products
(4 results)