2004 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病による唾液腺腺房細胞のコンパートメンタリゼーションの破綻とその治療薬の開発
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15591968
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
石川 康子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (40144985)
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Keywords | 糖尿病 / ラフト / 小葉管導管 / アクアポリン / 口腔乾燥症 / 唾液腺 / ガングリオシド / フロチリン |
Research Abstract |
糖尿病による口腔乾燥症の発症機序をアクアポリン・水チャネル(AQP)5の細胞内移動との連関性において検討した。平成15年度の細胞分画法による研究で、糖尿病ではAQP5がラフトに留まって細胞内移動が損なわれていた。本年度は、組織学的にこのことを確かめると共に、その治療薬について検討した。ウィスター系雄性ラットにStreptozotocin(40mg/kgi.p.)を投与して4週間後に実験に供した。ラットへSNI-2011(セビメリン)を静注し経時的に耳下腺を摘出、直ちにcompoundにて包埋後10μの切片に調製した。ホルマリンで固定し通法の処理後、諸種の抗体と各種Alexa Fluorを用いて蛍光染色した。共焦点顕微鏡観察において、健常ラットの耳下腺小葉間導管におけるAQP5は、無刺激条件下ではラフトに局在していたが、セビメリンによる刺激10分後には管腔膜で明瞭に増加した。糖尿病ラットではセビメリンによるこの増量が極めて曖昧であった。ラフトのマーカーであるGM1やフロチリンのセビメリン刺激による細胞内移動も糖尿病ラットでは曖昧となっていた。耳下腺切片を諸種薬物と反応後、調製したホモジネートより100,000g画分を得、1%TritonX(TX)-100可溶性と不溶性画分に分画した。耳下腺切片を10^<-5>Mセビメリンと反応後調製した管腔膜におけるAQP5量は対照群では約3倍の上昇が認められたが、糖尿病群ではほとんど上昇が認められなかった。TX-100不溶性画分のAQP5量は、糖尿病群で対照群に比し有意に低下したのみならず、セビメリン刺激により対照群ではこの画分のAQP5量が減量するにも拘わらず、糖尿病群では減量が認められなかった。インシュリンを4日間投与した後では、セビメリンの効果は健常ラットのそれと同じように認められた。【結論】M3-受容体刺激により誘導されるAQP5の細胞内移動が糖尿病ラットでは損なわれ、AQP5がラフトに留まって口腔乾燥症が発症し、インシュリンと共にセビメリンを使用するとセビメリンは口腔乾燥症の治療薬として有効に作用した。
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