2004 Fiscal Year Annual Research Report
アデノウイルス共発現ベクターによる唾液腺開口分泌の解析
Project/Area Number |
15591973
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
田隈 泰信 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40095336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 俊哉 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (40306254)
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Keywords | SNARE仮説 / 開口分泌 / GFP / 唾液腺 / アデノウイルス / VAMP-2 / VAMP-7 / 成長ホルモン |
Research Abstract |
VAMP-2の遺伝子ノックアウトマウスでは、カルシウム依存性の神経伝達物質の放出は完全に消失するが、全ての細胞に普遍的に存在する構成的(constitutive)な開口分泌は正常に行われる。この結果から、これまで構成的な分泌にはVAMP-2は関与しないと考えられてきた。しかし、たとえVAMP-2非存在下に構成的な分泌が起こり得るとしても、それは他のVAMPファミリータンパク質による代償作用である可能性があり、VAMP-2が正常な細胞で構成的分泌に関与していないという証明にはならない。そこで、HSY唾液腺由来細胞を用いヒト成長ホルモン(hGH)の構成的な分泌におけるVAMP-2の役割を検討した。まず、VAMP-2のmRNA発現を検討したところ、HSY細胞にも発現が認められ、PCR産物の塩基配列から、間違いなくヒトのVAMP-2であることが確認された。VAMP-2は分泌顆粒をもち、調節性の分泌を行うように分化した分泌細胞のみならず、一般細胞にもubiquitousに発現していることが示唆された。次に、VAMP-2-GFPとhGHをHSY細胞に共発現させたところ、VAMP-2がよく発現している細胞ではhGHを含むvesicleが極めて少なく、VAMP-2-GFPとhGHがともに局在するvesicleはほとんど認められなかった。このことは(1)VAMP-2は構成的な分泌に関与しない、(2)VAMP-2が関与する構成的な分泌は極めて速いためvesicleの検出が困難、という二つの可能性を示唆する。後者の可能性を検討するため、HSY細胞に低温処理を行った。20℃2時間の低温処理後37℃に戻した後、時間を追って固定し、それらの発現部位を共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察した。その結果、37℃に戻してから5,15,30分後の細胞内に、VAMP-2-GFPとhGHを同時に発現する小さなvesicleが多数認められた。これらの実験結果は、VAMP-2がv-SNAREとして極めて速い構成的な分泌に関与している可能性を強く示唆した。
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