2003 Fiscal Year Annual Research Report
体液性システインプロテアーゼインヒビターの網羅的解析と歯科医療への応用と実用化
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15591981
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
斎藤 英一 日本歯科大学, 新潟歯学部, 助教授 (40120662)
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Keywords | システインプロテアーゼインヒビター / リバースザイモグラフィー / ヒト唾液 / シスタチンスーパーファミリー / 魚類体表上皮粘膜 / サイトカイン誘導 / CD4陽性T細胞 / 組換えヒトシスタチン |
Research Abstract |
この研究課題では動植物などに由来するシステインプロテアーセインヒビターを網羅的に検索し、歯科医療分野において活用することを目指している。以下に得られた知見を示す。 1.組換え型ヒト唾液シスタチンを作成してシスタチンのサイトカイン誘導能を検討した。その結果、シスタチンSAにはCD4陽性T細胞にインターフェロンγを誘導させる生物活性があることが明らかとなった。シスタチンはサイトカインネットワークを介して免疫応答系において重要な役割を果たすのではないかと考えられる。2.組換え型シスタチンSA2に対するモノクローナル抗体を作成して様々なシスタチンに対する交差性を検討した。その結果、極めて高い選択性を持つ抗体が得られたことが判明した。高選択性のモノクローナル抗体は歯科臨床診断に利用できるかもしれない。3.魚類の体表上皮細胞の抽出液から2種のシステインプロテアーゼインヒビター(S-16PとS-31p)を精製することができた。S-16Pは分子量16kDaの塩基性蛋白質であり、強力なシステインプロテアーゼ阻害活性を示した。S-31pは既に報告されている日本産ウナギ体表レクチンAJL-2と同一の蛋白質であると判断されるが、この蛋白質にシステインプロテアーゼ阻害活性があることを新たに発見した。これらのインヒビターは口腔微生物の増殖阻止作用を発揮することが期待される。4.新潟県産コシヒカリより新奇の低分子量シスタチン(分子量14kDa)を発見し、「オリザシスタチンIII」と命名した。既に組換え蛋白質の生産にも成功している。シスタチンを利用して歯周病予防食品を開発することを展望している。5.組換え型ヒト唾液型シスタチンを1リットル培養当たり収量が1グラムという極めて高い生産効率のシステムを開発した。6.システインプロテアーゼインヒビターの鮮明な像を与えるリバースザイモグラフィーの手法を確立した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Kato, T.Ito, T.Imatani, K.Minaguchi, E.Saitoh, K.Okuda: "Cystatin SA, a cysteine protease inhibitor, induces gamma interferon expression in CD4 positive T cells."Biological Chemistry. Vol.385,No.7(in press). (2004)
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[Publications] S.Akiba, Y.Hayashi, Y.Hakamada, K.Endo, K.Ara, S.Kawai, E.Saitoh: "Efficient production of human salivary cystatins by Bacillus subtilis."Book of Abstract of the 154^<th> Meeting of the Society for General Microbiology (SMG). (in press). (2004)
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[Publications] T.Ito, A.Komiya, S.Yamada, K.Minaguchi, E.Saitoh, K.Okuda, T.Kato: "Detection of cystatins using murine monoclonal antibody."The Journal of Dental Research. Vol.83 Special Iss(in press). (2004)
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[Publications] E.Saitoh, S.Isemura, A.Chiba, K.Oka, S.Odani: "Cysteine protease inhibitors from epidermis of Japanese eel."Book of Abstract of the 3^<rd> General Meeting of the International Proteolysis Society. 329 (2003)
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[Publications] T.Kato, T.Ito, K.Minaguchi, E.Saitoh, K.Okuda: "Cystatin SA1 induces interferon gamma expression in CD4 positive T cells."Book of Abstract of the 3^<rd> General Meeting of the International Proteolysis Society. 347 (2003)
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[Publications] 斎藤英一, 伊勢村知子, 千葉 晃, 岡 俊哉: "魚類の体表上皮・粘液系における生体防御蛋白質の解析"歯科基礎医学会雑誌. 45巻・抄録集. 172 (2003)