2003 Fiscal Year Annual Research Report
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15591985
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
勝川 秀夫 朝日大学, 歯学部, 助手 (00076051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 清人 朝日大学, 歯学部, 助教授 (30102122)
硲 哲崇 朝日大学, 歯学部, 助教授 (90243154)
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Keywords | リジン欠乏 / 唾液腺 / リジン嗜好性 / 血中アミノ酸 / ラット |
Research Abstract |
唾液は食物に対する味覚や嗜好に深く関係していることが知られている。リジン欠乏食で一定期間飼育した動物ではリジンに対する嗜好性が増加することが報告されている。筆者らはこのようなリジンに対する嗜好の変化への唾液の関与について顎下腺・舌下腺除去ラットを用いて検討した。 リジン欠乏食で飼育した唾液腺正常(Lysdef-D)群および除去(Lysdef-D+SMX)群は二瓶法行動実験において、リジン>水>アルギニンの順に高い嗜好度を示したが、アミノ酸バランスの整った正常食で飼育した唾液腺無処理動物(Lyssuf-D)ではアルギニン>水>リジンの順であった。しかし、唾液腺除去動物(Lyssuf-D+SMX)では、欠乏食群と同様にリジンに対し高い嗜好度を示し、アルギニンの嗜好度は水やリジンに比べ低かった。これらの動物の絶食時における血中アミノ酸レベルを測定したところ、Lysdef-D、Lysdef-D+SMXおよびLyssuf-D+SMX群の血中リジンはLyssuf-D群よりも有意に減少していた。前者三群のリジンレベルには有意な差は認められなかった。唾液除去による有意な摂食量の低下が、Lyssuf-D+SMX群のこのような低リジンの原因である可能性がある。そこで、paired feeding試験でlyssuf-D+SMX群と同摂取量のLyssuf-D群のリジン・レベルを調べたところ低下は認められなかった。次に、Lyssuf-DとLyssuf-D+SMXの量群に30%スキムミルクを胃内投与し、30、60、120分後の血中リジン濃度を調べたが、Lyssuf-D+SMX群はLyssuf-D群に比べ低い傾向を示した。これらの事実から、顎下腺・舌下腺除去により動物はリジン欠乏状態に陥りやすいことが示唆された。唾液中のリジン栄養に関連する成分については現在調査中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yasumatsu K, Katsukawa H, Sasamoto K, Ninomiya Y: "Recovery of amiloride-sensitive neural coding during regeneration of the guastatory nerve : behavioral-neural correlation of salt taste discrimination."J.Neurosci.. 23. 4362-4368 (2003)
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[Publications] Watanabe U, Shimura T, Sako N, Kitagawa J, Shingai T, Watanabe E, Noda M, Yamamoto T: "A comparison of voluntary salt-intake behavior in Nax-gene deficient and wild-type mice with reference to peripheral taste inputs."Brain Res.. 967(1-2). 247-256 (2003)
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[Publications] Sako N, Tokita K, Sugimura T, Yamamoto T: "Synergistic responses of the chorda tympani to mixtures of umami and sweet substances in rats."Chem.Senses. 28(3). 261-266 (2003)
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[Publications] 勝川秀夫, 中島清人, 但野正朗, 硲哲崇, 二ノ宮裕三, 杉村忠敬: "飼料中苦味物質による唾液シスタチンの誘導"日本味と匂学会誌. 10(3). 765-768 (2003)
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[Publications] 山田礼子, 杉田大吾, 勝川秀夫, 二ノ宮裕三: "ラット顎下腺唾液中に誘導されるグルマリン結合蛋白の解析"日本味と匂学会誌. 10(3). 773-776 (2003)
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[Publications] 硲哲崇, 渡辺宇乃, 山本隆, 勝川秀夫, 江口公人, 杉村忠敬: "代謝型グルタミン酸受容体mGluR1アンタゴニスト混入うま味溶液に対するラットおよびマウスの鼓索神経応答"日本味と匂学会誌. 10(3). 629-632 (2003)