2004 Fiscal Year Annual Research Report
簡略化ステップ型接着システムの臨床的スミア層を有する歯面への短・長期的接着性能
Project/Area Number |
15592013
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井上 哲 北海道大学, 大学病院, 講師 (80184745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 享 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (90179771)
池田 考績 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (90222885)
吉田 靖弘 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90281162)
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Keywords | 簡略化ステップ型接着システム / 臨床的スミア層 / 機能性モノマー / 微小引張り接着強さ / サーマルサイクリング / 透過型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
1)短期的接着性能に関する研究 最近の簡略化ステップ型特に1ステップ型接着システムを#600SiC研磨象牙質面へ接着した場合、その接着界面は大きく(1)樹脂含浸層形成型、(2)機能性傾斜材料型、(3)ナノ相互作用層形成型に分類された。特に(3)は酸処理される歯質の量(深さ)が少なく、レジンの浸透が充分に期待できるため、劣化の少ない長期に安定な材料であることが期待された。短期的な接着強さも2ステップ型のものに近い値が得られた。 2)長期的接着性能に関する研究 3種の2ステップ型セルフエッチングシステム、Clearfi Mega Bond(CMB)、Unifil Bond(UFB)およびClearfi LinerBondII(LBII)の加水分解に対する安定性を、100000回サーマルサイクリング試験後の接着強さならびにTEMによる接着界面像を指標に検討した。CMBは100000回後もコントロールと有意差のない接着強さを示したが、UFB・LBIIは経時的に接着強さは減少した。TEM観察の結果、CMBには100000回後も接着界面の超微細構造に変化は見られなかったが、UFB・LBIIの100000回後の接着界面には、ハイブリッド層中に明らかな空隙や不明瞭なコラーゲン線維が認められた。以上より、象牙質接着界面の長期安定性は、機能性モノマー自体の加水分解安定性や機能性モノマーと象牙質との化学的相互作用に依存していることが示唆された。 3)各種機能性モノマーの歯質に対する化学的相互作用の分析 X線光電子分光法分析により、10-MDP、4-MET、phenyl-Pなどの機能性モノマーは歯質と化学的に相互作用することが示された。また10-MDPはハイドロキシアパタイトと最も強く反応するだけではなく、Caとの結合は加水分解に対し最も安定であることが判明した。
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Research Products
(3 results)