2004 Fiscal Year Annual Research Report
露髄面に対する創傷被覆材の効果と分化・増殖因子添加による硬組織形成能に与える影響
Project/Area Number |
15592033
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小塚 昌宏 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (00328759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 潔 日本大学, 松戸歯学部, 助教授 (00157306)
川島 正 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (50158862)
木村 功 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (60307874)
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Keywords | 創傷被覆材 / 歯髄 / 直接覆髄 / アルギン酸塩 |
Research Abstract |
昨年度の研究により歯髄に対するアルギン酸塩被覆材の有効性が確認できたことから、本実験では炎症の消退と硬組織形成について検索し、歯髄に対する増殖因子添加の有効性を検討するために以下の実験を行った。 1,ヒト歯髄培養細胞に炎症性サイトカインであるTNF-αを添加し、骨形成因子(BMP-2)発現およびALP活性に及ぼす影響を検討した。 2,ヒト歯髄培養細胞に対しTNF-αおよびNF-κB阻害剤であるPDTCを添加し、BMPのシグナル伝達因子であるSMADのうちの抑制型であるSMAD 7の発現およびALP活性に対する影響を検討した。 1,ヒト歯髄培養細胞対してTNF-αを添加することにより、BMP-2のmRNA量およびタンパク質量の増加が認められた。しかしながらTNF-α添加によりALP活性は有意に抑制された。 2,ヒト歯髄培養細胞対しPDTCを添加することによりSMAD 7の発現は抑制された。また、PDTCおよびTNF-αを伴に添加することにより、TNF-αを単独で添加したものと比較し、ALP活性の増加が確認された。 本実験の結果から、TNF-αはヒト歯髄培養細胞に対しBMP-2の発言を促進させるも、ALP活性を抑制させるとの結果が得られ、さらにその過程において、NF-κBおよびSMAD 7の関連が示唆された。TNF-αは歯髄培養細胞のBMPによる分化を抑制するものと示唆されたことから炎症を起こした、または炎症の進行した状態の歯髄に対してBMPを作用させたとしても良好な結果が望めないのではないかと推測される。今後、アルギン酸塩被覆材、さらに増殖因子添加の有効性を検討するために、TNF-αによるALP活性の抑制に関わるNF-κBおよびSMAD 7に対する更なる検討が必要であると思われる。
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