2003 Fiscal Year Annual Research Report
漂白後のエナメル質表層の経時的色変化および薬剤処理による影響について
Project/Area Number |
15592037
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
白石 充 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (70319581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 正義 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (50067021)
廣瀬 泰明 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (70340619)
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Keywords | 漂白 / エナメル質 / 色 / 色素沈着 |
Research Abstract |
抜去後冷凍保存したヒト歯から切り出したエナメル質切片をテフロン製モールドに包埋し,エナメル質表面を歯科用漂白剤ハイライト(松風)にて処理した.処理後のエナメル質表面をフッ素配合の歯磨剤,モノフルオロリン酸ナトリウム溶液,フッ化ナトリウム溶液にて処理し,エナメル質表面の色を分光測色計CM-2600d(コニカミノルタ)にて計測した後,試料を天然色素である0.05%ブドウ皮色素水溶液中に,60℃で1ヵ月間浸漬した.また,歯科用漂白剤ハイライトにて処理した後,そのまま0.05%ブドウ皮色素水溶液中に浸漬した試料をコントロールとした.1ヵ月後に試料を水洗した後,浸漬前と同様にエナメル質表面の色を分光測色計にて計測し,浸漬前と浸漬後のL*,a*,b*値をそれぞれ算出した. その結果,SCI方式でのL^*,a^*,b^*値は,漂白剤処理後にフッ素配合歯磨剤あるいはモノフルオロリン酸ナトリウム溶液にて処理した試料において,ブドウ皮色素水溶液に浸漬前と浸漬後のL^*値,a^*値およびb^*値の各変化が,コントロールに比べ小さかった.そのことから,フッ素配合の歯磨剤およびモノフルオロリン酸ナトリウム溶液処理によりブドウ皮色素の沈着が抑制された可能性が示唆された.しかし,フッ化ナトリウム溶液処理では,浸漬前後でコントロールと同様の色の変化を示したことから,単にフッ化物処理が色素の沈着の抑制効果を有するとは断定できなかった.現時点では,漂白後エナメル質表面の処理による色素沈着抑制効果は,エナメル質表面に対するフッ化物の作用の仕方,研磨剤による表面の滑沢性あるいは処理剤による膜効果など様々な要素が考えられる.今後,色素沈着抑制効果があったと考えられる処理について,その詳細ついて検討するとともに,処理後のエナメル質表層微細構造を原子間力顕微鏡にて観察することにより,漂白後の処理がエナメル質表層微細構造に及ぼす影響と色素沈着との関連について検討していく予定である.
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Research Products
(1 results)