2003 Fiscal Year Annual Research Report
ビスフェノールAを溶出させないBis-GMAモノマーの調製
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15592045
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
門磨 義則 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (00092403)
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Keywords | Bis-GMA / ビスフェノールA / ラジカル |
Research Abstract |
本研究においては,Bis-GMAが歯科材料のベースモノマーであり,最終的にはラジカル重合により重合硬化することから,ラジカルの発生源としてラジカル重合に関連したラジカルを使用することにした.まず,重合関連ラジカルとラジカル捕捉剤とのモデル反応を詳細に検討して,一般に発生ラジカルがモノマーよりも優先的に捕捉剤と反応するために,反応条件を選択することにより,モノマーを重合させることなくラジカル捕捉剤を消滅させることが可能であることを確認した.以下に本年度の研究成果をまとめた. 1.ポリメタクリル酸メチル(PMMA)とのラジカル捕捉反応 様々な形状・物性を有するPMMAを用いて,その粒径,粒度分布,分子量,残留MMA量,残留重合開始剤量などの因子について検討した.PMMA中に存在するラジカル量はPMMAのガラス転移温度と関連することが明らかとなり,その存在量は100℃程度の加熱時間により調節が可能であった.一方,PMMAのBis-GMA中への溶解性に限界があることから,十分な量のPMMAをBis-GMAに溶解させるにはアセトンなどの溶媒を使用する必要があった.ポリマーの溶解性を向上させるために,長鎖アルキルメタクリレートとの共重合を実施して,現在,そのラジカル捕捉能力を検討している. 2.ラジカル前駆体とのラジカル捕捉反応 Bis-GMAモノマーへの溶解性を考慮して,低分子のラジカル捕捉剤を用いた.可視光線重合における増感剤のカンファーキノン(CQ),促進剤の第三アミン,および過酸化ベンゾイルを適宜組み合わせてBis-GMAとのモデル反応系を作成した.CQの励起波長は450〜500nm付近であるので,照射光源として波長分布の狭い465〜475nmの光を発する青色発光ダイオード(LED)を用いるとともに,加熱による影響についても併せて詳細にデータを収集した.極低濃度でのラジカル捕捉反応は効率が低下することから,ビスフェノールAを包接化合物化することで局所反応効率を改善させる反応系に向けて研究を展開させている.
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Research Products
(1 results)