Research Abstract |
嚥下活動時の舌運動と鼻咽腔運動の機能的関連の検討-口蓋舌筋活動と口蓋帆挙筋活動を指標に- 1.検査食の検討:再現性の高い筋電図資料を採取するためには,検査食の物性が経時的に変化しないことが望ましい.市販5種の増粘剤(トロミクリア,トロミアップ,スルーソフトS,スルーソフトリキッド,トロメリン)を,糖度8.9%に調整した加糖蒸留水に混和し,調整時から経過に伴う物性について検討した.[結果]スルーソフトリキッド以外の粉末増粘剤では,1)調整時に「ダマ」が生じた,2)時間経過により粘性が上昇した,3)一方,スルーソフトリキッドは,混入時に"ダマ"ができず,時間経過にともなう物性の変化は認められなかった. 2.嚥下対象の物性と至適嚥下量:水での至適嚥下量が非ニュートン流体を資料とした際に適用できるかを検討するために,スルーソフトリキッドを用いて作成した4種の被験食(100ml加糖蒸留水に,スルーソフトリキッド0.5,1.0,1.5,2.0袋溶解した),加糖蒸留水,粥の6種の被験食の至適嚥下量について検討した.[結果]1)水、トロミ付与した水、粥の順に至適嚥下量は低下した,2)スルーソフトリキッドの添加量が増すと至適嚥下量は小さくなった. 3.嚥下量と口蓋舌筋活動と口蓋帆挙筋活動:加糖蒸留水を用い,至適嚥下量を基準に1回嚥下量を変化させた場合,口蓋舌筋活動の変化は被験者によって様々であり,至適嚥下量の変化に対する口蓋舌筋活動の変化の様相はsigmoid状であった.一方,口蓋帆挙筋活動は,全被験者において共通して,嚥下量の変化に対応して有意に変化し,嚥下量と相関していた.嚥下時の口蓋帆挙筋と口蓋舌筋の活動は,相互に関連を有するものの相関性は低かった.引き続いて種々のテクスチャの被験食を用いて舌口蓋圧と筋電図による検討を行う予定である.
|