2003 Fiscal Year Annual Research Report
メタクリル酸銀を応用した抗菌性歯科用レジン材料の開発
Project/Area Number |
15592079
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
倉田 茂昭 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (20104333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二瓶 智太郎 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (50237781)
楳本 貢三 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (40097275)
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Keywords | 抗菌性 / 歯科用レジン / メタクリル酸銀 / 銀イオン |
Research Abstract |
補綴物に抗菌性を付与し,少しでも材料による口腔内衛生の低下を抑えることは大切なことである.これまで歯科材料,特にレジン系材料に銀イオンを抗菌性物質として用いた研究では,銀イオンをレジンに直接複合できず,銀イオンをゼオライトなどの担体に一度保持させ,その担体をレジンに分散させた複合材料であり,銀イオンは材料中に均一に分散されず,材料の抗菌性能は低いと考えられる.本研究のメタクリル酸銀は,銀を抗菌性物質としてもつモノマーである.本研究でメタクリル酸銀は,床用レジン材料などのモノマーであるメタクリル酸メチル(MMA)に可溶であり,銀イオンの定量からMMAに約0.05mmol/l溶解した.この量は抗菌性を示すのに十分なものと考えられる.本メタクリル酸銀とMMAとの共重合体を調製したところ,無色透明な重合体を与えることが分かった.また,得られた共重合体の機械的強さは,ポリ(メタクリル酸メチル)と比べ同等以上の値を示し,強度の低下は認められなかった.得られた共重合体を水中に浸したとき,共重合体から銀イオンが微量溶出することが考えられるので,水溶液中に存在する微量の銀イオンの定量分析について検討した.水溶液中の微量の銀イオンに塩化物イオンを反応させ,沈殿を形成し比濁分析を行った.吸光度と濃度との検量線は,比較的良い直線性を示した.しかし,生成した塩化銀の沈殿は安定でなく,分析する時間が制約されるなどの問題点があり,分析法としては実用的でなかった.また,銀の発色剤であるローダニンを用い吸光光度法で分析した.銀-ローダニン錯体のモル吸光係数が小さいこと,発色が溶液の酸性条件に敏感であり安定でなく,銀の分析ができなかった.
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