2004 Fiscal Year Annual Research Report
短縮歯列における補綴処置の是非をめぐるエビデンスを求める
Project/Area Number |
15592084
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
山下 秀一郎 松本歯科大学, 大学院・歯学独立研究科, 教授 (80242212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桐原 孝尚 松本歯科大学, 歯学部附属病院, 助手 (70340049)
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Keywords | 咬合支持 / 短縮歯列 / レントゲン画像 / 下顎頭変位 / 満足度 |
Research Abstract |
目的:臼歯部咬合支持が喪失した場合に,積極的に補綴的処置を施すべきなのか,あるいは放置しても臨床上問題がないのか,治療方針に関しては十分な学術的基準が示されていない.本研究では,咬合支持の喪失が顎機能に対して将来的にどの程度のリスクを及ぼすのかを明確にする目的で,客観的評価と主観的評価の両者を組み合わせた多角的評価法について検討した. 方法:客観的評価は顎関節のレントゲン画像による評価と最大咬みしめ時における下顎頭の変位測定の2項目とした.主観的評価は,咀嚼,発音,審美性,咬合,不快感などに関する患者の満足度とした.これを10名の片側性遊離端欠損の患者に対して応用した. 結果:顎関節のレントゲン画像では,5名の被験者で欠損側における異常像を認めた.咬みしめ時の下顎頭変位に関しては,欠損側下顎頭において有意に大きな変位量が観察された.主観的評価である患者の満足度については,短縮歯列の口腔内に対して4名の被験者が不満を有している結果となった. 結論:客観的および主観的評価結果をもとに,被験者を4つのカテゴリーに分類することが可能となった.現在,このカテゴリーに応じて以下のように治療方針の組み立てを行うことが好ましいと考える.つまり,両評価とも良好(Category I)と判断されれば,補綴処置を行わなくとも定期的な経過観察で対処可能であろう.いずれか一方の評価に問題があれば(Category II, III),口腔内の状況を観つつ必要に応じてすぐに治療を開始できる体制(wait and see policy)をとる必要があろう.さらに,両者の評価とも問題があれば(Category IV)直ちに補綴処置を開始すべきであろう. このように,短縮歯列に対して画一的な評価を行うのではなく,再度中立的な立場に戻り患者ごとにその評価結果にあわせた治療方針を決めることが最善策と考える.
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Research Products
(6 results)