2004 Fiscal Year Annual Research Report
口腔機能と器官温存を目指した放射線化学療法の核酸代謝を反映するPETによる評価
Project/Area Number |
15592103
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北川 善政 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00224957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 和生 福井大学, 医学部, 教授 (20145270)
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Keywords | 口腔癌 / FDG-PET / FLT / 動注化学療法 / 器官温存 / 治療効果判定 / 予後判定 / SUV |
Research Abstract |
口腔癌において器官を温存するためには、術前療法の正確な治療効果判定や残存腫瘍の有無の評価が不可欠である。従来の画像診断では得られない腫瘍の代謝活性を反映するFDG-PETを用いて治療効果判定に利用し有益な情報が得られた。まず、放射線化学療法前後にPETを撮影し、従来の画像診断と比較した。治療前PETでは全例FDGの異常集積を示し、sensitivityは100%で、Gaシンチ、CT、MRより高かった。治療後CT、MRでは瘢痕、肉芽組織は残存腫瘍と区別できずspecificityはCT、MRで低かったが、PET(89.5%)では正確に識別可能であった。その結果、適切な手術法が選択でき、器官温存が可能になった。口腔癌におけるFDG-PETと細胞増殖能、細胞密度との関係を検討し、PETにより腫瘍の性質や放射線化学療法の効果が予測可能かどうかを評価した。FDGの取り込み量SUVを測定し、細胞増殖能、細胞密度、臨床的、組織学的治療効果と比較した。重回帰分析では細胞増殖能、細胞密度、T分類によりpre-SUVやpre-post SUVを予測できた。FDG-PETは腫瘍の侵襲性を反映し、治療効果や残存腫瘍の有無が予測可能であることが示唆された。CD34抗体を用いて微小血管密度とFDGの関係を検討したところ、pre-SUVの高い腫瘍ほど、腫瘍面積あたりの血管数、血管周囲長の和が少ないことが明らかとなった。この結果は、FDGが低酸素下で腫瘍内によく取り込まれることを裏付けている。さらに、各種癌の悪性度の判定、予後予測に有用性が報告されている核小体形成領域関連蛋白(argyrophilic nuleeolar organizer regions : AgNORs)についてFDG集積との関連を検討した。SUVとAgNORsスコアとを組み合わせることにより、われわれが行っている放射線併用動注化学療法の効果や残存腫瘍の有無がより正確に予測可能になった。このため、口腔扁平上皮癌の治療方針の決定において有効な指標となる可能性があると考えられた。FDG集積値から治療効果、残存腫瘍の有無、予後の予測が可能であったことから、PET診断により手術の回避(10例)あるいは縮小手術(19例)がある程度可能になった。以上よりFDG-PETはQOLの向上につながる極めて有用な診断法と考えられた。 FDGの取り込み
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量SUVを測定し、細胞増殖能、細胞密度、臨床的、組織学的治療効果と比較した。重回帰分析では細胞増殖能、細胞密度、T分類によりpre-SUVやpre-post SUVを予測できた。FDG-PETは腫瘍の侵襲性を反映し、治療効果や残存腫瘍の有無が予測可能であることが示唆された。CD34抗体を用いて微小血管密度とFDGの関係を検討したところ、pre-SUVの高い腫瘍ほど、腫瘍面積あたりの血管数、血管周囲長の和が少ないことが明らかとなった。この結果は、FDGが低酸素下で腫瘍内によく取り込まれることを裏付けている。さらに、各種癌の悪性度の判定、予後予測に有用性が報告されている核小体形成領域関連蛋白(argyrophilic nucleolar organizer regions : AgNORs)についてFDG集積との関連を検討した。SUVとAgNORsスコアとを組み合わせることにより、われわれが行っている放射線併用動注化学療法の効果や残存腫瘍の有無がより正確に予測可能になった。このため、口腔扁平上皮癌の治療方針の決定において有効な指標となる可能性があると考えられた。FDG集積値から治療効果、残存腫瘍の有無、予後の予測が可能であったことから、PET診断により手術の回避(10例)あるいは縮小手術(19例)がある程度可能になった。以上よりFDG-PETはQOLの向上につながる極めて有用な診断法と考えられた。 CD34抗体を用いて微小血管密度とFDGの関係を検討したところ、pre-SUVの高い腫瘍ほど、腫瘍面積あたりの血管数、血管周囲長の和が少ないことが明らかとなった。この結果は、FDGが低酸素下で腫瘍内によく取り込まれることを裏付けている。さらに、各種癌の悪性度の判定、予後予測に有用性が報告されている核小体形成領域関連蛋白(argyrophilic nudeolar organizer regions : AgNORs)についてFDG集積との関連を検討した。SUVとAgNORsスコアとを組み合わせることにより、われわれが行っている放射線併用動注化学療法の効果や残存腫瘍の有無がより正確に予測可能になった。このため、口腔扁平上皮癌の治療方針の決定において有効な指標となる可能性があると考えられた。FDG集積値から治療効果、残存腫瘍の有無、予後の予測が可能であったことから、PET診断により手術の回避(10例)あるいは縮小手術(19例)がある程度可能になった。以上よりFDG-PETはQOLの向上につながる極めて有用な診断法と考えられた。 以上よりFDG-PETはQOLの向上につながる極めて有用な診断法と考えられた。 Less
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Research Products
(6 results)