2003 Fiscal Year Annual Research Report
吸入麻酔薬による一酸化窒素を介した食道平滑筋弛緩反応の抑制機序
Project/Area Number |
15592110
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
糀谷 淳 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (60304325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美藤 純弘 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (20240872)
松尾 龍二 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30157268)
宮脇 卓也 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教授 (00219825)
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Keywords | 吸入麻酔薬 / セボフルラン / 下部食堂括約筋 / 一酸化窒素 / 全身麻酔 / 嚥下 / 胃食道逆流 / 消化管平滑筋 |
Research Abstract |
下部食道括約筋(lower esophageal sphincter ; LES)は通常は収縮し胃内容物の逆流を防いでいるが、嚥下にともなって弛緩し食塊等を通過させる.吸入麻酔薬は歯科・口腔外科領域の全身麻酔法に広く用いられているが、LESに対する作用については知られていない.一般的に全身麻酔後には嚥下機能や気道防御機能が障害されることが知られており、LES機能も影響を受ける可能性がある.本研究ではウサギLES等尺性張力変化測定モデルを用い、吸入麻酔薬セボフルランの直接作用について検討した. セボフルランを20mlのクレブス緩衝液を満たしたオルガンバス中に95%O_2・5%CO_2混合ガスとともに一定時間通気し、セボフルラン濃度をガスクロマトグラフ装置で測定した.セボフルランはDatex-Ohmeda社製専用気化器を通気回路内に設置することにより投与した.混合ガス流量は1l/minとし、回路内ガス圧を持続的に測定した.時間-麻酔薬濃度曲線を作成し、セボフルランの飽和時間および安定した麻酔薬濃度が得られる条件を探索した.次にLESの静止張力に及ぼすセボフルランの直接弛緩作用を観察した. ガス供給回路内圧が50mmHg以上になるとバス中セボフルラン濃度が上昇せず、気化器から麻酔薬が正常に気化しない可能性が疑われた.またバスを直列に配置すると、末端のバスほど麻酔薬濃度が低くなる傾向がみられた.従って、回路内圧が30〜40mmHgになるよう余剰ガスを一定に排出させ、かつ均等に麻酔薬を各バスに供給させるため循環式通気回路とする必要があった.7%セボフルラン通気によるバス中濃度は、3分後0.080 minimum alveolar concentration (MAC)、10分後0.145MAC、15分後0.142MAC、20分後0.135MACであり、投与開始後10分経過すればセボフルランは十分飽和していると考えられた.またセボフルランは濃度依存的にLESを弛緩させた. 以上より、セボフルラン通気時には回路内圧に留意しガス供給回路の形態を工夫する必要があった.セボフルランは濃度依存的にLESを直接弛緩させた.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kohjitani A, Miyawaki T, Funahashi M, Higuchi H, Matsuo R, Shimada M.: "Ketamine and inidazolam differentially inhibit nonadrenergic noncholinergic lower esophageal sphincter relaxation in rabbits : Role of superoxide anion and nitric oxide synthase"Anesthesiology. 98(2). 449-458 (2003)
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[Publications] Kohjitani A, Miyawaki T, Funahashi NI, Mitoh Y, Matsuo R, Shimada M.: "Mexiletine inhibits nonadrenergic noncholinergic lower oesophageal sphincter relaxation in rabbits"European Journal of Pharmacology. 28;465(1-2). 145-151 (2003)