2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト口腔扁平上皮癌に対するp27^<Kip1>発現増強を目指した分子標的治療法の開発
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15592116
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
原田 耕志 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (60253217)
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Keywords | 野生型p27^<Kip1> / 変異型p27^<Kip1> / Skp2 / Jab1 / 発現ベクター / アンチセンスオリゴ / 分子標的療法 |
Research Abstract |
p27^<Kip1>はサイクリン依存性キナーゼ阻害蛋白の一つであり、多くの予後不良の癌においてp27^<Kip1>の分解活性が亢進していることから、p27^<Kip1>蛋白の分解機構抑制により癌悪性度を低下させる可能性がある。そこで本研究ではp27^<Kip1>蛋白の分解機構抑制を目的に、p27^<Kip1>蛋白のSkp2依存的分解の抑制を図った変異型p27^<Kip1>遺伝子、さらにp27^<Kip1>の分解において重要な役割を演じるSkp2、Jab1のアンチセンスオリゴヌクレオチド(AS)を用い、これらを腫瘍細胞へ導入することによりp27^<Kip1>発現の安定化を図り、それらの抗腫瘍活性について比較検討を行った。ヌードマウスに口腔扁平上皮癌細胞(B88)ならびに唾液腺癌細胞(HSY)10^6個を皮下移植し、変異型p27^<Kip1>発現ベクター(Thr187/Pro188をMet187/Ile188に変異)、Skp2、Jab1それぞれのASをそれぞれ4匹ずつの腫瘍内に投与し、ピンセット型電極にてpulseを加え遺伝子導入した。その結果、変異型p27^<Kip1>発現ベクターの遺伝子導入は、野生型p27^<Kip1>発現ベクターや空ベクターを導入した場合より有意な増殖抑制を示した(p<0.01)。またSkp2、Jab1それぞれのASの導入は、スクランブルコントロールを導入した場合より有意な増殖抑制を示した(p<0.01)。さらに残存腫瘍をTUNEL法にて検索したところ、DNA断裂した腫瘍細胞が有意に増加していた。なおin vivoではpulseによる局所の損傷や全身への副作用と思わせる所見は認めず、実験期間中各群間で有意な体重減少は認めなかった。 以上よりin vivo electroporationによる遺伝子導入は安全に施行でき、P27^<Kip1>蛋白の発現減弱の頻度が高い口腔扁平上皮癌において、変異型p27^<Kip1>を応用した遺伝子治療ならびにSkp2、Jab1それぞれのAS療法は有効である可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)