2004 Fiscal Year Annual Research Report
全身麻酔薬は本当に術中ストレスを抑制するか?-自律神経モニターによる観察から-
Project/Area Number |
15592138
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
卯田 昭夫 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (30277470)
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Keywords | 全身麻酔薬 / 周波数解析 / 自律神経系 |
Research Abstract |
全身麻酔薬の自律神経系への関与を明らかにするため、日本大学松戸歯学部付属歯科病院において、下顎骨後退術を受ける患者で本研究の主旨に同意の得られた患者を対象に,2つの自律神経モニター(Tarawa/Win^<【○!R】>およびFluclet^<【○!R】>)を装着し周波数解析を行った。 麻酔前投薬は行わない。もしくは、必要最小限のミダゾラムとし、硫酸アトロピンなどの副交感神経遮断薬は用いなかった。麻酔の導入は揮発性麻酔薬だけを用い、入眠後、筋弛緩薬にベクロニウムを用いて気管挿管した。呼吸数は10回/分に統一し、呼吸の周波数解析に与える影響を一定にした。ただし、臨床上必要と思われる処置は最優先した。 下顎骨後退術は左右の骨を切断するため、同程度の侵襲が左右、つまり手術の前半と後半にあると考え選んだ。手術前半および後半の揮発性麻酔薬はそれぞれセボフルランおよびイソフランとし、2つの全身麻酔薬が自律神経に与える影響の違いについて検討した。その結果、両者の相違点を見出すことはできなかった。その理由として局所麻酔の使用量が多いこと、片側終了時に止血剤を用いるなど、自律神経系に影響する薬物を外科医が用いることから、有用なデーターを導き出せなかったと考えた。 そこで、当初の実験計画の対象を変更し、少量の局所麻酔で十分鎮痛効果を得ることができる小手術を対象とした。導入および麻酔維持方法は上記方法に準じた。手術侵襲に変動はあるものの、自律神経に影響する侵害刺激のすべてが局所麻酔で抑えられる症例(埋伏歯の抜去、小嚢胞摘出術、上顎洞根治術)を選んだ。その結果、症例数が少ないため、統計学的検討は行っていないが、セボフルランは交感神経系および副交感神経系の活動をともに抑制するが、イソフルランでは交感神経系の活動が抑制できない傾向を認めている。つまり、全身麻酔中患者はストレスを受けている可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)