2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヘルトビッヒ上皮鞘細胞の発現するセメント質形成誘導因子の検索
Project/Area Number |
15592191
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大石 慶二 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00253211)
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Keywords | ヘルトビッヒ上皮鞘 / 細胞外基質蛋白 / 基底膜 |
Research Abstract |
この研究の本年度の目標は、初代培養ヘルトビッヒ上皮鞘(HERS)細胞が培養条件下で基底膜を形成しているかどうか確認し、基底膜が確認されればこれが歯小嚢細胞および歯根膜細胞の分化におよぼす影響を調べることである。 まずマウス歯胚よりHERS細胞を分離し、上皮細胞培養用培地(KGM培地)を用いて一週間培養した。この細胞からRNAを抽出してRT-PCRを行い、細胞の発現する細胞外基質を検索した。その結果、初代培養HERS細胞は、コラーゲンタイプIVα1,α5サブユニットを発現していたが、α3サブユニットは発現していなかった。また、ラミニンγ2、ファイブロネクチンを発現していた。これらの結果は初代培養HERS細胞が基底膜成分を合成することを示唆するものである。また、HERS細胞に由来するマラッセ上皮遺残に特異的な遺伝子についても同様に調べた。その結果、マラッセ上皮遺残で発現の見られる遺伝子TrkA, calbindin D28kは、初代培養HERS細胞では発現が認められなかった。 次に蛋白レベルで基底膜の構成成分を検索した。初代培養HERS細胞の分泌蛋白を回収し、ウエスタンブロットを行った。その結果、今回用いた実験条件下では、ラミニン、コラーゲンタイプIVは検出できなかった。 また、初代培養HERS細胞が接着した面に基底膜成分が存在するかどうか組織学的な検索を試みた。しかし、組織切片作製が可能な担体(コラーゲン膜)上にはHERS細胞が十分接着できず、組織学的な確認はできなかった。 以上、初代培養HERS細胞は基底膜成分を分泌している可能性は高いと考えられたものの、蛋白レベルでの確認はできなかった。今後、細胞培養を行なう担体を変え、基底膜の形成を検索する予定である。
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