Research Abstract |
喫煙は,歯周病最大のリスクファクターであり,その原因は生態防御機構の不均衡によるとされているが,その見解は様々である。そこで,喫煙による,好中球に対する殺菌系の検討を行い,活性酸素産生能と脱顆粒の関連について考察を加え,以下の如く研究成果を発表してきた。 1,喫煙が好中球の機能に及ぼす影響-活性酸素産生能について-,日本歯科保存学学会第116回秋季総会,千葉,2003,6月. 2,Smoking effects on neutrophil activity in human peripheral polymorphonuclear leucocytes,81^<st> IADR, Sweden, June,2003. 3,Cigarette smoking effects on neutrophil elastase activity in human PMN,51^<st> JADR, Japan, December,2003. 4,Smoking effects on elastase activity and inhibition in human PMN,82^<nd> IADR, USA, March, 2004. 概要は以下の如くである。 1,ニコチン暴露によるelastase activityと活性酸素産性能の上昇とα1-antitrypsinの抑制を認めた。活性酸素は,α1-antitrypsinを不活化する報告より,elastase activityの場を提供し,歯周組織破壊が生じることが推察された。 2,コチニン暴露に対しては,脱顆粒系と活性酸素産性能系の両経路での抑制が認められた。特に,走化性因子であるelastase α1-antitrypsin complexの形成抑制や,コチニンの40時間に及ぶ半減期を考慮すると,殺菌能の低下を促すコチニンは,細菌や異物に対する防御機構を低下させ,歯周組織破壊に関与する重要な因子である事が示唆された。
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