2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15592211
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
長田 恵美 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (00304816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北田 勝浩 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90195264)
伊藤 博夫 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (40213079)
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Keywords | デンタルプラーク / 感染性心内膜炎 / Streptococcus oralis / ラット |
Research Abstract |
今年度は、ヒトデンタルプラークそのものが感染性心内膜炎誘発能をもつかどうかをラット実験モデルを用いて検証し、さちに心内膜炎誘発に関係する菌の同定を行った。方法:口腔清掃を48時間停止させた健康な成人から採取した歯肉縁上プラーク(1×10^7CFU)を、右頚動脈から挿入されたカテーテルによって大動脈弁に損傷を与えられたWistarラット(雄、体重350〜400g)に尾静脈より注入し、デンタルプラークの注入から3日後、全身麻酔下にて心臓と動脈血を採取した。弁部の疣贅を摘出、ホモジナイズした後、ビタミンB_6を添加したコロンビアCAN5%ヒツジ血液寒天培地、およびGAM寒天培地上で嫌気培養した。Rapid ID 32 Strep APIとRapid ID 32 A APIにて菌種を同定した。デンタルプラーク懸濁液と採取した動脈血でも同様に細菌培養、菌の同定を行った。結果および考察:カテーテル挿入により弁に損傷を加えたラットの内、ヒトデンタルプラークを血液内に注入したものは全て感染性心内膜炎を発症していた。感染性心内膜炎を発症したラットの疣贅および血液から検出された菌は、Streptococcus oralis、Streptococcus mitisなどの特定の数種に限られていた。一方、カテーテル挿入による弁の損傷のみのラットでは感染性心内膜炎の発症は認められなかった。デンタルプラークそのものが誘発した感染性心内膜炎のラットから検出された菌は、臨床において感染性心内膜炎患者から高頻度に検出される菌と一致しており、健康なヒトのデンタルプラークには、感染性心内膜炎の病原因子が含まれることが示唆された。
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