2004 Fiscal Year Annual Research Report
歯周疾患の病態形成機構における口臭原因物質メチルメルカプタンの機能的役割と意義
Project/Area Number |
15592213
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
安井 利一 明海大学, 歯学部, 教授 (20146252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 良昭 明海大学, 歯学部, 講師 (90206219)
松本 勝 明海大学, 歯学部, 講師 (00209652)
竹下 玲 明海大学, 歯学部, 講師 (70236454)
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Keywords | 口臭原因物質 / メチルメルカプタン / 歯周疾患 / マクロファージ / サイトカイン / P.gingivalis / 炎症性骨吸収 / アポトーシス |
Research Abstract |
口臭原因物質は、メチルメルカプタンを中心とする硫化化合物である。幾つかの報告は、口臭症患者のメチルメルカプタン量と歯周疾患の病態に正の相関関係の存在することを示している。ごく最近、メチルメルカプタンは、幾つかの歯周病原性細菌が産生することが明らかとなった。これらの知見から、メチルメルカプタンは、歯周病原性細菌由来の病原性因子として、本疾患の病態の成立・進行に密接に関係している可能性を考察した。 一方、歯周疾患は、歯肉の炎症と骨吸収を特徴とする慢性感染症である。近年の歯周病研究の結果から、本疾患は、歯周病原性細菌が有するリポ多糖(LPS)等が、炎症性サイトカイン(IL-1、TNF-α、並びに、IL-6)を誘導し、強い炎症が惹起されることが示されている。また、これらの炎症サイトカインは、骨吸収活性を有することから、歯槽骨に破骨細胞が誘導され、歯槽骨が吸収されることも明らかにされている。ゆえに、メチルメルカプタンが、歯周疾患の病態の成立・進行に密接に関係しているか否か検討することを目的とし、マクロファージ様細胞Raw264.7細胞のサイトカイン誘導について検討している。その結果、Raw264.7細胞は、メチルメルカプタンの刺激によりTNF-αを産生することが明らかとなった。また、慢性炎症疾患の病巣においてマクロファージのアポトーシスが強力に抑制されていることが明らかとなっている。そこで、このメチルメルカプタンがRaw264.7細胞のアポトーシスを阻害することを明らかにした。このアポトーシス抑制作用は、Casepase-8と-3を阻害することによるものであることを示した。現在、この作用に、メチルメルカプタン誘導性TNF-αがオートクライン機構で関与するか否か検討している。
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Research Products
(5 results)