2004 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚の清潔ならびに皮膚生理機能を維持するための看護ケアに関する基礎的研究
Project/Area Number |
15592242
|
Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
佐伯 由香 福岡県立大学, 看護学部, 教授 (70211927)
|
Keywords | 清拭 / 経表皮水分蒸散量 / ATP活性 / 接触圧 |
Research Abstract |
昨年度は、種々の絆創膏を皮膚に貼付したときの皮膚生理機能を比較検討し、通気性や皮膚のバリア機能の維持という点から、紙製のマイクロポアが最も皮膚に影響を与えないテープであることを報告した。今年度は、看護実践において頻繁に行われる「清拭」に焦点を当て、皮膚をこする強さと皮膚生理機能、ならびに皮膚の清浄度とを比較検討した。 健康女性10名(19〜20歳)を対象とし、皮膚生理機能として角層水分量、油分量、経表皮水分蒸散量(TWEL)、そして皮膚の清浄度の指標としてATP活性を測定した。清拭は温湯清拭とし、皮膚の構造が異なる、前腕手掌側、背部、下肢腹側、頸部を測定対象とした。拭き方は通常の強さで1回拭いた場合、強く1回拭いた場合、通常の強さで1回と3回拭いた場合で比較検討した。また、皮膚を拭く強さは接触圧を測定することによって評価した。 前腕、背部、頸部では通常より強く拭くとTWELは上昇したが、清浄度を示すATP活性は下肢と頸部においてのみ強く拭くと減少する傾向が見られた。また、拭く回数を増やすと下肢以外の部位でTWELは増加した。ATP活性は頸部以外の部位で減少した。 今回の結果から、下肢は強く拭いたり、拭く回数を増やしても皮膚のバリア機能にはさほど影響しないことが示された。しかし、それ以外の部位では強く拭く、あるいは回数を増やすことによって清浄度は減少するもの、バリア機能が損なわれる可能性が示された。今後は、皮膚構造との関連を検討し、各身体部位によって効果的な拭き方を検討する必要があると考えられた。
|
Research Products
(6 results)