2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15592257
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
牛久保 美津子 群馬大学, 医学部, 教授 (90213412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛込 三和子 群馬大学, 医学部, 教授 (10176654)
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Keywords | ALS(筋萎縮性側索硬化症) / 診断初期 / スピリチュアルペイン / 苦悩・葛藤 / 病体験 |
Research Abstract |
3年目の本研究は、神経難病は病状が悪化進行する特徴から、長期的視野をふまえて、スピリチュアルペインを緩和し、神経難病とともに前向きに生きていくための支援として、療養初期における早期介入のあり方を探求することとした。なぜならば、本研究の1年目・2年目の取り組みの成果により、悪化進行する神経難病の療養者の累積するスピリチュアルペインを緩和し、これから続く長期療養に前向きに取り組めるよう支援するためには、療養初期から介入をはじめることが重要であると示唆を得たからである。 本年度の研究目的は、病勢が比較的速い筋萎縮性側索硬化症(ALS)を取り上げ、以下、2つの研究に取り組んだ。 I.療養初期にあるALS患者の病体験 ALSと告知され、現在外来通院している療養者8名を対象に、発症から診断、診断告知から現在までの心理面を明らかにするための面接調査を実施した。結果、診断初期にあるALS患者は、それぞれの異なる症状進行や受診経過に伴い、複雑多様な心理状況にあることが明らかにされた。ほとんどの患者は、次から次へと進行する病状に振り回されている状況が強く、診断告知時に人工呼吸器の装着についての説明などを受けてはいるが、それを考えるには及ばない状況であることが明らかになった。 II.難病医療相談会における筋萎縮性側索硬化症に関する相談の来談者別・経過別にみた相談ニーズ 2003,2004年に難病医療相談会のALSに関する全相談10件(のべ12件)を調査対象とし、来談者別(本人か家族か)・経過別(診断後1年未満と1年以上)に分析を行った。結果、療養初期(診断告知後1年未満)においては、患者・家族ともに情緒的不安定に関する相談が多く、診断後1年以上は、呼吸器装着の意思決定、ターミナル期など具体的な相談ニーズがみられた。 以上より、早期介入を行うには、患者の心理状態をよく見極めながら、時期を逸しないように、介入のタイミングを計ることが重要であることが示唆された。
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