2006 Fiscal Year Annual Research Report
食道切除術を経験した食道がん患者の新たな嚥下方法獲得のプロセスを促進する看護介入
Project/Area Number |
15592268
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
森 恵子 浜松医科大学, 医学部, 講師 (70325091)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋元 典子 岡山大学, 医学部, 教授 (90290478)
猶本 良夫 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (00237190)
|
Keywords | 食道がん / 内容分析 / 困難体験 / 対処 / 生活の再構築 |
Research Abstract |
平成18年度の研究目的は,食道切除術を経験した食道がん患者の術後の生活の再構築を促進させるためにどのような看護が必要であるかの示唆を得ることである。 過去3年間の対象者への面接調査より,食道がんのために食道切除術を受けた患者が術後に抱える困難体験には,【再建部膨隆への差恥心,食後の下痢がもたらす生活圏の狭小化】【再建部膨隆,大幅な体重減少,手術侵襲に伴う体力低下がもたらすボディー・イメージの変化】【予想をはるかに超えて苦痛と化した摂食行動】【予期せぬ症状出現時の動揺】【胃液・食物の逆流に伴う苦痛】【再発・転移の不安】【社会生活継続への心配】の7つが明らかとなり,これら7つの困難体験に対して患者は,《命と引き換えに変化を受け入れ行動する》《時間をかけて変化に慣れる》《生きるために自分流の食べ方を体得する》《情報を集める》《逆流を防ぐための方策を捜し求める》《定期的に病院を受診しながら用心して生活する》《今出来ることを行なう》の7つの対処行動をとりながら,困難を要する手術後の生活への影響に対処していた。 現状では,7つの困難体験に対して患者自らが,日々の生活を通してつかみとった対処行動で変化した生活の再構築を行わざるを得ない状況であることが明らかとなった。このことから,術後の変化した生活への適応を促進するためには,手術前から術後の回復過程にそって,患者が遭遇しやすい困難体験について前もって情報提供するとともに,そのような困難体験に対してどのような対処方法があるかについても,前もって情報提供することで,予期的に困難体験に対処する力を患者に獲得させることが可能となり,そのことが,食道切除術を経験した食道がん患者の術後の生活の再構築を促進することにつながると考える。具体的な援助プログラムの作成については,次年度以降研究を継続する予定である。
|