2003 Fiscal Year Annual Research Report
口唇裂・口蓋裂児をもつ母親の出生前告知の実態と告知時の支援モデル作成
Project/Area Number |
15592303
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
中新 美保子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 助教授 (00319998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森口 隆彦 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10111816)
篠原 ひとみ 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 助教授 (80319996)
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Keywords | 口唇裂口蓋裂 / 出生前告知 / 出生前診断 / 母親 / 遺伝カウンセラー / 遺伝ナース / 先天異常 |
Research Abstract |
出生前に口唇口蓋裂の情報提供を受けた母親12名、その場面に立ち会った医療者(医師、看護師、助産師)11名に対して(1)情報提供場面の実態、(2)情報提供後の精神的支援の実態、(3)治療に関する情報提供の実態、の3項目に関して半構成的面接を実施した。 母親への聞き取り調査を基に、治療専門医受診の時期別(A妊娠中受診、B出生直後受診、C産科退院後2週間未満受診、D退院後2週間以降受診)に看護の役割を検討した。 その結果、妊娠中に専門医を受診しCL/CPの詳しい説明や治療、予後等について説明を受けた群では、母親の不安は小さく、冷静に事態を受け止め児の受容もよく、その後の治療もスムーズに行われている。妊娠中にCL/CPの説明を産科医からは受けていても、専門医への紹介が無いか、遅い場合は、母の不安が大きく、児の受容も治療も満足できるものではなかった。さらに、家族の対応も極めて重要で、特に祖父母の妊婦あるいは出産直後の母親に対する心無い発言(『うちの家系にはいない』)が、児の受容や治療に暗い影を落とす例が注目された。一般市民の遺伝や遺伝病に対する正確な認識が乏しい現状で、検査手法のみが進歩普及してこのような不都合が生じていることが考えられる。遺伝病・先天異常の子どもを持つと母親の情動不安はきわめて大きい。遺伝ナースや遺伝カウンセラーを早急に養成し母親の身近に配置し、治療専門医との連携をとるべきである。 医療者側の聞き取り調査の分析に関しては、現在進行形であるが、治療領域に対する知識の不足が一番の問題である。そのために、いつ、どのように治療専門医と連携をとっていいのかさえ、理解できていない医療者が存在していた。少子化が進み、1年に1回出会うかどうかのCL/CP児と母親への医療は、地域差あるいは出会う医師の力量によってかなり差がある。だれもが、活用できる支援モデルの作成を急いでいる。
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