2003 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児の親子関係に関する研究〜子どもの発達と家族機能の関係〜
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15592304
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
山口 求 広島国際大学, 看護学部, 助教授 (90290387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 公子 広島国際大学, 看護学部, 教授 (40212766)
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Keywords | 乳幼児の発達 / 親の家族機能(FFFS) / 親子関係 / 家族の病気 / 家族の心配事 / 発達の規定要因 / サブシステムとの関係 / 社会との関係 |
Research Abstract |
乳幼児の親の家族機能(以下FFFSとする)の特徴を明確にし、今後の研究のデータベースとする。そして、家族のもつ問題から具体的アプローチを示唆する。さらに。子どもの発達に親の家族機能がどのように影響を及ぼしているのか。子どもの発達を阻害する因子、または発達促進となる要因を探り、子育て支援に役立てることを目的としてFFFS日本版I調査票(法橋2000)を用いて調査を行った。 西日本(大阪市、岡山市、東広島市、愛媛県S町)の、保育園に子どもを預けている乳幼児とその親を対象とした。810部のFFFS調査票(妻用・夫用)、子どもの発達調査票(年齢別)を一緒にして、保育士に依頼し、送迎時に直接親に手渡す方法とした。自宅で記入後調査票すべて一緒の封筒に入れ封をして保育園に提出してもらった。倫理的配慮として、調査の目的、結果の使用や同意書の必要性及び保管場所や取り扱いを具体的に書面に記した。同意書に署名捺印し同意の得られた対象者に調査票を配布し、無記名とした。有効回答率は53.8%(436人)であった。 分析方法は、FFFSの夫婦平均得点比較(a:現実得点、b:理想得点、c:重要得点、d:b-aの差の得点)、主成分析による因子分析をおこなった。FFFSは、「配偶者相互関係」「知人・身内関係」「仕事以外の自分の時間」「家族の病気」「家族の心配事」「社会的イベント」の6因子が抽出された。一方、子どもの発達は、「認知領域」「運動領域」「生活自立領域」「社会性領域」の4因子が抽出され、年齢により因子順位は入れ替わった。子どもの発達を目的変数として、FFFSを説明変数として重回帰分析を行った。 結果は、1歳は「愛着」とFFFS「心配事」に正の相関が認められ(r=.312p<.05)、愛着形成に親の心配事が規定要因となっていた。2歳では、「社会性」とFFFS「自分の時間」に正の相関(r=.252p<.05)、「身辺自立」とFFFS「病気」に負の相関(r=-.365p<.05)が認められた。家族の病気は、家族機能を低下させ子どもの発達を阻害する要因となることが示唆された。3歳は、「社会性」とFFFS「社会的イベント」に正の相関(r=.328p<.02)、FFFS「自分の時間」に負の相関(r=-.234p<.05)があり、子どもの社会性の発達は、親の社会との関係に規定されていることが示唆された。4・5・6歳では、「運動」「認知」がFFFS「自分の時間」に正の相関が認められた(r=.156p<.05、r=.146p<.05)。子どもの発達に応じて、親の家族機能の「病気」「心配事」「自分の時間」「社会的イベント」などが、規定要因となることが示唆された。今回の研究で核家族や就労している親の家族機能の問題の特徴がとらえられた。
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Research Products
(1 results)