2004 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄の老人福祉施設における高齢者のセクシュアリティに関する研究
Project/Area Number |
15592320
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
赤嶺 依子 琉球大学, 医学部, 助教授 (20305189)
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Keywords | 高齢者の性 / 老人福祉施設 / 認識 / イメージ / 対応 / QOL / 沖縄 |
Research Abstract |
1.沖縄県の老人福祉施設における高齢者の性に関わる問題の実態調査 高齢者にも性的欲求があり、直接的な性的接触(性交渉、肌の触れ合い)や間接的な関係(いたわり、愛情、異性との交遊等)を求めると理解されていた。施設入居者/利用者の性別で比較すると男性は女性に比べ性的欲求が高く、より直接的な性的接触を求めると理解されていた。高齢者の性の実現がQOL向上に影響するかどうかについては、性差は殆どなく肯定的に捉えられ、これらの結果は全国調査結果とほぼ類似していた。老人福祉施設での恋愛や性に関連する問題の発生率は、男性が女性に比べてやや高く全国調査の結果と同様であるが、全体的にはその発生率が全国調査より高く、軽費老人ホームで約7割を示したのは特記すべき点であろう。 高齢者同士の恋愛や結婚等、性に関連する問題が施設で発生した場合、本人の自由意志を尊重し、なるべく認める対応は全国調査と一致し男女交際への理解度が高いことが推測される。しかし、そのような状況で家族(子供)が反対した場合、一般に高齢者が自立性を持つと考えられる施設においても、「本人(高齢者)の意見を尊重する」割合は全国調査に比べ低く、「本人と家族との意見を調整する」割合が全国調査に比べ高くなる傾向が認められた。また、高齢者の性の問題に対する教育や相談システムの設置は施設間格差があり全体的には3割以下に止まり、性に関する倫理規定の文書化も殆ど行われていない。沖縄県の老人福祉施設は高齢者の性について、QOLに関連する重要課題と理解しながらも、性に関連する問題にどのように取り組むべきか、具体的な検討をする段階にはまだ至っていないのが現状である。今後、高齢者の性に関する教育の充実と老人福祉施設における性相談システム・倫理規定の整備等検討していく必要性が示唆された。 2.平成15年度研究実績を第5回国際看護科学学会で発表し、論文は民族衛生学会誌に掲載された。
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Research Products
(1 results)