2003 Fiscal Year Annual Research Report
特別養護老人ホームにおける痴呆高齢者の終末期の様相と看護ケアの課題
Project/Area Number |
15592326
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Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
北川 公子 新潟県立看護大学, 看護学部, 助教授 (30224950)
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Keywords | 痴呆高齢者 / 終末期 / ターミナルケア / 身体兆候 / 脳血管性痴呆 / アルツハイマー型痴呆 |
Research Abstract |
I 目的:特養入所者に対する追跡調査から,痴呆高齢者の終末期の様相を多角的に検討するとともに,終末期の局面ごとに生じる看護・介護上の課題を明らかにする。 II 方法:本年度は,2つの調査を実施した。 調査1 新潟県内の一特養入所者のうち,痴呆の診断の明確で,調査時点で重度痴呆かつ要介護度Vに相当する3名の女性入所者(いずれも脳血管性痴呆)を対象に,カルテの経過記録から,身体兆候の出現状況を入所以降調査時点まで遡及した。調査2 千葉県内の一特養入所者のうち,痴呆の診断が明確な30名の過去3年間にわたるバイタルサインズデータを,施設の既存記録の中から収集した。 III 結果:調査1 A氏は入所6年目,痴呆発症から11年が経過,B氏は入所10年目,傷病期間は15年。C氏は入所12年目,傷病期間は14年。入所時,A,B両氏は寝たきり,C氏は歩行可能であり,入所5年目に寝たきりに移行した。これらの段階を『最高度痴呆+非寝たきり』と『最高度痴呆+寝たきり』に分け,各身体兆候が初めて記載された順序を検討した。C氏のみ該当する『最高度+非寝たきり』では「歩容の異常」の次に「転倒」が生じた。続く『最高度+寝たきり』の段階では,3名とも最初に「頻繁な発熱」が出現した。それ以降の順序は必ずしも一致しないが,「覚醒困難な日中の睡眠」と「嚥下困難」はいずれにも共通し,かつ近い時期に出現する傾向を認めた。 調査2 過去3年間の体温,脈拍,血圧,体重,食事摂取量に関するデータの収集と入力を終えたところである。 IV 考察及び今後の計画:今年度の成果から,繰り返される発熱が痴呆の重度期におけるマーカーの一つである可能性が示唆された。今後,対象者の脱落と身体兆候の出現状況の関連,及びそのときに生ずる看護・介護上の課題について調査を進める。
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