Research Abstract |
1.ユニット型介護保険施設における死の看取りを含むターミナルケアに関する調査研究 ユニット型介護保険施設10施設(特別養護老人ホーム6施設,介護療養型医療施設2施設,介護老人保健施設施設)の施設長,看護職および介護職の責任者を対象に死の看取りを含むターミナルケアの現状を面接調査し,本課題との関連で利用者がその人らしさを尊重されつつ最期を迎えることができる援助を検討した。その結果,まず,施設長がこれらを方針として明文化して施設職員と共有していること,また,ユニット型の特徴である介護職員の固定配置により,利用者や家族に関する情報が豊富で,それらを活かした介護が可能であり,終末期においても踏襲できること,また,終末期にあっては看護職が中心になって医師・介護職などとの連携を密にするとともに,家族を含む随時カンファレンスを強化していること,看取った後の事例検討会などを通じてケアの振り返りをして施設職員の意識を向上させていることが明らかになった。 2.特別養護老人ホームの看護職が認識している看護活動の現状と課題 特養看護職が日常的に実践している看護行為と大切にしている看護行為に焦点をあて,A県特養66施設182名の看護職と面接し,回答を分析した。その結果,日常的に実践し,かつ,大切にしている看護行為は,「感染症の予防・処置」と「病状観察・情報収集」であり,高齢者の生き方やあり方自体を重視したケアの回答は明確でなかった。これは当然のことと認識した結果であるか否かは明らかでなく,今後の課題となった。 3.特別擁護老人ホームにおける夜間・休日対応の現状と課題 A県66施設の特養看護職の夜間・休日対応を面接調査した結果,全施設オンコール体制であり,介護職による電話連絡に対する看護職の対応は,「電話指示」「電話支持+出勤対応」「出勤対応」に分類され,看護職の役割の重大さとともに,嘱託医の協力のあり方が課題であることが明らかになった。高齢者が安心して施設を利用でき,その人らしさを発揮できるためには,夜間・休日対応のあり方を強化する必要性が示唆された。 4.介護老人保健施設の看護活動の現状と課題 A県B地区の老健を悉皆的に訪問して看護職と面接し,看護活動の現状を調べた。中間施設としての機能重視する施設のある一方で特養化しつつある施設の2分化が見られ,利用者より家族の意向が重視される傾向が示唆された。
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