2004 Fiscal Year Annual Research Report
児童虐待予防に向けた周産期からの家庭訪問プログラムの開発と有効性の検討
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15592333
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Research Institution | Osaka Prefectual College of Nursing |
Principal Investigator |
上野 昌江 大阪府立看護大学, 看護学部, 助教授 (70264827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 和子 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (10300922)
大平 光子 大阪府立看護大学, 看護学部, 助教授 (90249607)
郷良 淳子 大阪府立看護大学, 看護学部, 助手 (40295762)
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Keywords | 児童虐待予防 / 周産期 / 保健師 / 家庭訪問 / ペアレンティングプログラム / 事例検討 |
Research Abstract |
本研究は、周産期に医療機関から連絡があった養育問題がハイリスクである対象者に対して、地域の母子保健活動を中心的に行っている市町村保健師が出産直後から母親への継続した支援を実施し、親子関係の良好な発展を図ることにより不適切な養育行動を予防し、児童虐待における世代間連鎖を絶ちきることをめざす。2年目の研究活動として、H市での虐待事例の検討会の立ち上げ、I市、D市における周産期の医療機関と地域の連携状況の把握、周産期の家庭訪問で実施できるペアレンティングプログラム開発に向けたペアレンティングプログラム実施機関での実態調査を行った。1.H市虐待事例検討会:平成16年8月から平成17年3月までに4回、6事例の検討を行った。いずれも保健師が継続的に支援を行っている虐待のケースである。子どもの年齢はいずれも幼児であり、母親に対人関係の問題があり、保健師は虐待を認識しつつ関わりにくさを感じていた。検討会の参加者は市保健センター保健師、保健所保健師、臨床心理士、大学教員(研究者)である。事例検討をとおして、支援のために必要な情報収集の方法(母親、子どもとも)や子どもへの具体的かかわり方の母親へ指導方法、母親への支援の進め方などが検討され、虐待への支援の共通認識の基盤ができつつある。今後も定期的な検討会を継続していく予定である。2.I市、D市における周産期の支援状況の把握:I市では、医療機関からハイリスクとして10代、精神疾患がある、育児不安が強い、シングル、未熟児等について連絡があり、保健センター保健師が訪問活動をおこなっている。現在の課題は医療機関から連絡を受ける際のハイリスクの基準、家庭訪問時にどのような情報収集、支援(ペアレンティングを促す)をおこなうのかを保健師間で統一していく必要があることなどが明らかにされた。3.ペアレンティングプログラムに関する実態調査:全国の7か所の保健所の実施状況とオーストラリアのトリプルP(前向き子育て)、アメリカ合衆国で開発されたアクティブペアレンティングについて聞き取り調査をおこなった。いずれも幼児期を対象にしたプログラムであり、周産期からのペアレンティングプログラムについてはさらに文献検討等を継続していく必要がある。
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