2003 Fiscal Year Annual Research Report
地域で生活する統合失調症患者の生活の質(QOL)に関する研究
Project/Area Number |
15592337
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
國方 弘子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 講師 (60336906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 和夫 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (30265102)
三野 善央 大阪府立大学, 社会福祉学部・看護学科, 教授 (80181965)
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Keywords | 統合失調症 / 地域 / QOL / 自尊感情 / 抑うつ気分 / 非協調性 |
Research Abstract |
【目的】 地域で生活する統合失調症患者を対象に、個人特性は客観的指標とQOLに関連があるか、客観的指標は自尊感情とQOLに影響しているか、客観的指標のどの症状がQOLに影響しているか、自尊感情とQOLには関連があるか、QOLは何によって影響を受けているかについて検討した。 【方法】 対象は3施設のデイケアに通所し、地域で生活する統合失調症患者73名とした。対象の選定にあたっては、調査によって精神的悪影響がないと判断される患者の抽出を主治医に依頼し、その結果選定された患者に協力の意思を確認した。 調査内容は、基礎調査表(個人特性)、WHO/QOL-26、自尊感情測定尺度、症状(BPRS)、社会生活技能評価尺度-12、社会資源サービス利用度スコアで構成した。 倫理的配慮は疫学研究に関する倫理指針に沿った。 【結果と考察】 平均QOL値は3.09で、一般人口と比較して低かった。個人特性は客観的指標とQOLに関連がなかった。 BPRSの抑うつ気分、運動減退、非協調性の症状が強くなると自尊感情が低くなった。抑うつ気分、非協調性の症状が強くなるとQOLが低くなった。自尊感情が高くなるとQOLが高くなった。 そこで、QOLに関連があった抑うつ気分、非協調性、自尊感情を独立変数、QOLを従属変数とした重回帰分析を行った結果、QOLの変動の24%は自尊感情によって説明された。 以上の分析をもとに、抑うつ気分と非協調性が自尊感情の基礎となり自尊感情がQOLを規定する因果関係モデルを構築し、そのモデルの適合度と寄与率を共分散構造分析で検討した結果、モデルは受容できることが示された。 【結論】 1.地域で生活する統合失調症患者のQOLは、般人口に比較して低い。 2.自尊感情はQOLに直接影響を与え、客観的指標である症状は自尊感情を介してQOLに影響を与えることが示されたが、因果関係を明確に結論付けるためには縦断研究が必要である。
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[Publications] 國方 弘子, 三野 善央: "統合失調症患者の生活の質(QOL)に関する文献的考察"日本公衆衛生雑誌. 50・5. 377-388 (2003)
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[Publications] 國方 弘子, 中嶋和夫: "精神障害者のQOL:うつコーピングと抑うつ性の影響"日本看護研究学会雑誌. 26・5. 19-29 (2003)