2005 Fiscal Year Annual Research Report
地域で生活する統合失調症患者の生活の質(QOL)に関する研究
Project/Area Number |
15592337
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
國方 弘子 岡山大学, 保健学科看護学専攻, 助教授 (60336906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三野 善央 大阪府立大学, 社会福祉学部, 教授 (80181965)
中嶋 和夫 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (30265102)
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Keywords | 統合失調症患者 / 地域生活 / QOL / 自尊感情 |
Research Abstract |
【目的】 QOLを予測するものを2年間の追跡調査を用いて明らかにする。 【方法】 デザイン:2002年8月〜2003年11月に初回調査(T0)、その1年後に追跡調査(T1)、2年後に追跡調査(T2)。 対象:3施設の精神病院デイケアに通所する(在宅生活の患者)統合失調症患者106名。このうち、転院、入院、死亡、拒否などを除く69名が最終的な参加者。 調査内容:WHO/QOL-26、Rosenbergの自尊感情測定尺度、症状(BPRS、抑うつ気分、非協調性)、社会生活技能評価尺度-12、性・年齢など人口学的要因、抗精神病薬1日服用量など臨床上の特性で構成。 分析方法:1.T0時点における全ての変数とQOLの相関関係を検討。2.T0でQOLと有意な関連があった変数間に多重共線性の問題がないかを検討。3.TOでQOLと有意な関連があった変数を独立変数、T0〜T2のQOLを従属変数として回帰分析。 【結果】 分析1.性とQOLは関連があり女性のQOLが高かった。BPRS、抑うつ気分、非協調性はQOLと負の相関関係があった。自尊感情はQOLと正の関連があった。 分析2.BPRSと抑うつ気分、BPRSと非協調性は中程度の相関があったため、BPRSを変数から削除した。 分析3.性、抑うつ気分、非協調性、自尊感情を独立変数、T0のQOLを従属変数として回帰分析を行った。結果、寄与率は、性が7.1%、抑うつ気分が6.1%、非協調性が7.7%、自尊感情が14.7%であった。T1のQOLを従属変数とした回帰分析の寄与率は、性が7.1%、自尊感情が16.5%であった。T2のQOLを従属変数とした寄与率は、自尊感情が20.6%であった。他の変数はQOLを予測しなかった。 【結論】 自尊感情のQOLへの影響力は安定しており、むしろ時間が長くなるほど自尊感情がQOLに影響する割合は大きくなる。このことから、主観的評価であるQOLを向上させるためには、統合失調症患者の自尊感情の向上に焦点をあわせた介入の重要性が示唆される。
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Research Products
(4 results)