Research Abstract |
【目的】岐阜県郡上市内に居住する要介護(支援)認定者を対象とするコホート研究により,要介護(支援)認定区分の変化および生命予後に関連する要因を明らかにすることである。 【方法】2003年4月から2004年12月までの間に要介護(支援)認定を受けた全ての1号保険者を「死亡」,「要介護(支援)認定の変化」と認定調査79項目,生活場所(施設・在宅),サービスの受給,要介護(支援)に至った診断名等との関連を観察する。 【断面結果】2年間で把握したベースライン対象者は2,345人(男807人,女1,538人),在宅1,826人,施設入所者は519人であった。 1)要介護(支援)認定ランク:要支援15.3%,要介護1 32.8%,要介護2 14.1%,要介護3 13.0%,要介護4 12.0%,要介護5 12.2%であった。 2)特別な医療を受けている者は315人で,その主な内訳は点滴75人,褥そう48人,カテーテル45人であった。 3)認知症有症率:男60.0%,女63.0%,男女とも認知症(痴呆性老人自立度)が重度になるほど,又高齢になるほど要介護認定も重度化。認知症が悪化するにつれて意思疎通や問題行動ありの者が増加。女の出現率が高い項目は毎日の日課を理解,生年月日,場所理解,被害的,作話,幻視幻聴,同じ話,収集癖および火の不始末であり,男は大声をあげると介護への抵抗である。 4)主な疾患は循環器疾患(65歳以上人口に対する割合8.6%)が最も多く,筋骨格系及び結合組織の疾患(5.6%),精神及び行動の障害(4.0%)の順であった。筋骨格系疾患では男女差はみられず,80歳以上で増加し,その主な部位は下肢(2.3%),脊椎(2.0%),骨粗鬆症(1.4%)であった。要介護度と部位別の関連はみられなかった。骨折は女性に多く,男女とも80歳以上で増加し,部位は下肢骨(0.8%),脊椎(0.5%)で,要支援,要介護1に多かった。 5)居宅者の世帯構成は独居232人(12.7%),高齢者夫婦315人(17.3%),2世代331人(18.1%),3・4世代754人(41.3%)であった。在宅世帯別サービス利用状況は3・4世代754人のうち利用有が53.4%と最も高く,高齢夫婦世帯利用は121人(38.4%)で,独居者は91人(39.2%)であった。
|