2004 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド線維形成の分子機構の解明とその制御-ナノマテリアルとしての利用-
Project/Area Number |
15602001
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
長谷川 一浩 福井大学, 医学部, 助手 (60324159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内木 宏延 福井大学, 医学部, 教授 (10227704)
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Keywords | ナノマテリアル / β2-ミクログロブリン / アミロイド線維 / ドデシル硫酸ナトリウム / βアミロイド線維 / 線維形成制御 / 透析アミロイドーシス / 分子間相互作用 |
Research Abstract |
本研究では、1.βアミロイドおよびβ2ミクログロブリン(β2-m)アミロイドをモデルとして、アミロイド線維形成・分解の分子論的統一的モデルを構築し、2.これらのモデルを用いて生体分子・薬剤の影響を解析し、発症に共通する分子機構を明らかにし、治療戦略を構築すること、3.アミロイド線維形成反応を制御する方法を確立し、蛋白質性ナノマテリアルとして応用することを目的とする。本年度は以下の成果を得た。(1)β2-mアミロイド線維(fAβ2M)の試験管内伸長において、従来は酸性条件下で伸長反応を行ってきたが、生体界面活性物質アナログと考えられるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を臨界ミセル濃度程度(0.2-1.0mM)になるように添加すると、中性pHでfAβ2M伸長効果を有することを見出した。この濃度領域のSDSはβ2-mの立体構造を部分的に変化させていること、線維構造を安定化すること、SDSの陰性荷電が伸長促進効果に必須であることを解明した。引き続き、同様の効果を有する生体内界面活性物質の探索を行っている。(2)試験管内でAβ蛋白質からのβアミロイド線維(fAβ)形成を阻害し、かつ形成されたfAβを不安定化する有機化合物を探索し、ビタミンA誘導体等が強力な線維形成阻害・不安定化作用を示すことを見出した。さらに、これらの分子レベルでの阻害機構の解析を進めた。(3)アミロイド線維伸長反応のマイクロカロリメーターによる直接測定に成功し、熱力学的安定性などの論議が可能となった。(4)βアミロイド線維形成において界面活性物質が促進効果を有することを検討した。以上の様に、生体におけるアミロイド形成の分子基盤解明に向けて顕著な進展を得ることができた。また、ナノマテリアルとしての応用に向けて有用な諸特性を見出すことができた。
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