2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15604006
|
Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
宮田 亮平 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (00174194)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 靖 東京芸術大学, 音楽部, 助教授 (80187278)
原 智 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 助教授 (60248911)
亀川 徹 東京芸術大学, 音楽学部, 助教授 (70359686)
|
Keywords | 美術 / 鍛金 / ホルマント / 民俗芸能 / 銅鑼 / 音響心理 / 展延性 / 音色 |
Research Abstract |
歌舞伎での荘厳な響きを創出する鍛金製の銅鑼の形体と音響心理との関係性に着眼した本研究では、実際の制作を中核に、音響心理学等の知見にも依拠しながらより心地よい音色を創造・開発し、「美」と「音楽」の融合の可能性を探ることが眼目である。 最終年度となった平成16年度の研究の結果は、以下のとおりである。 1.本研究の中心となる銅鑼の試作制作については、各部分の板厚や形状、寸法を微妙に変化させ、より美しい音色を奏でる銅鑼の創出を目指して、制作比較し研究した。具体的には中心部を半球状にし、よりバランス良く振動が伝わるよう制作したものや、端の部分の高さを増して音を包み込むような形状にするなどの試作を行った。 2.フィールドワークによって収集した日本の銅鑼を初め、バリ島のガムラン銅鑼、韓国の銅鑼、ラオスの銅鑼の金属成分を分析し、それらが音にどのような影響を与えるかを研究した。 3.試作制作した5種類の銅鑼の音色を音響スタジオで収録し、コンピュータによる音響特性測定を行った。その結果、心地よい音色を奏でる銅鑼には、2kHz付近を山とする倍音の包絡線(ホルマント)が見られた。また被験者による印象評価実験を行った結果、落ち着き因子、迫力因子、美的因子と音響特性がどのように関連しているのかが明らかになった。 4.銅鑼の制作工程と音響的な要素、印象評価などの関係をさらに詳細に調べることで、求める音に、より近い銅鑼を制作できる可能性があり、美と音楽の融合をさらに深めることが期待できる。
|