2003 Fiscal Year Annual Research Report
密度汎関数法のフラビン酵素への適用とその反応メカニズムの体系化
Project/Area Number |
15607015
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
玉置 春彦 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (80264290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 丈幸 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (50332763)
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Keywords | 密度汎関数法 / 分子軌道計算 / X線結晶構造解析 / 電荷移動相互作用 / フラビン酵素 / アシルCoA脱水素酵素 / アシルCoA酸化酵素 / D-アミノ酸酸化酵素 |
Research Abstract |
アシルCoA脱水素酵素(ACD)に関する実験データの蓄積に基づいて、密度汎関数法(DFT)による分子軌道計算のフラビン酵素反応への適用性とその信頼性を検討し、基質反応シミュレーションへの礎を築いた。まず、基質反応と類似の初期過程によりαプロトン脱離が起こる3-チアアシルCoAを基質アナログに用いた酵素複合体の立体構造(X線結晶構造解析による)に関して、フラビン環と脱プロトン化リガンドをモデル分子とした計算は、結晶構造における分子配置を再現した。その相対配置を決定する要因が両者(酸化型フラビン-アニオン型リガンド)に働く電荷移動(CT)相互作用であることを、モデル複合体のHOMO軌道表示により可視化した。さらに、フラビン環8位の置換基効果によるCTバンドシフトの理論的説明に成功した。密度汎関数法は、フラビン環への電荷移動量が0.6-0.3電荷(CN>CI>CH3>OMe>NH2)であると見積り、Mulliken理論の強い電荷移動相互作用により複合体が安定化することを示した。電子吸引基の導入による複合体の安定化エネルギー(計算)の増加は、実験事実と一致した。また、D-アミノ酸酸化酵素においても同様に、分子軌道計算を拡張し、酵素活性部位の立体構造と可視紫外吸収スペクトルが再現することを確認している。さらに、フラビン酵素反応メカニズムの体系化とデータベース化に関しては、プロテインデータベースPDBの検索作業を行っており、酵素反応に必須の酵素アミノ酸配列の抽出と整理、および酵素活性部位をWeb上で表示するための動画作製(quickTime形式)を進めている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Satoh, A.et al.: "Structure of the Transition State Analog of Medium-Chain Acyl-CoA Dehydrogenase. Crystallographic and Molecular Orbital Studies on the Charge-Transfer Complex of Medium-Chain Acyl-CoA Dehydrogenase with 3-Thiaoctanoyl-CoA"Journal of Biochemistry. 134. 297-304 (2003)
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[Publications] Nishina, Y.et al.: "Molecular Mechanism of the Drop in the pKa of a Substrate Analog Bound to Medium-Chain Acyl-CoA Dehydrogenase : Implications for Substrate Activation"Journal of Biochemistry. 134. 835-842 (2003)