2004 Fiscal Year Annual Research Report
密度汎関数法を基礎にした新しい方法論の開発と非平衡電子過程への応用
Project/Area Number |
15607018
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Research Institution | TOKYO UNIVERSITY OF SCIENCE |
Principal Investigator |
渡辺 一之 東京理科大学, 理学部第一部, 教授 (50221685)
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Keywords | 空間分割密度汎関数法 / 時間依存密度汎関数法 / 電界電子放射 / 静電容量 / 非平衡電子過程 / 炭素ナノ構造 |
Research Abstract |
平成16年度は、研究計画に沿って研究を実施し成果を上げることができたので、その概要を説明する。 (I)「時間依存密度汎関数法(TDDFT)の非平衡電子過程への応用」 (1)炭素ナノ構造の電界放射機構 有限幅のグラファイトリボンに外部電界を印加すると、電界方向に拠らずリボン端に存在するダングリングボンド(DB)状態から電子放射されること、π軌道の電子放射への寄与は小さいことが解った。また、グラファイトシートに原子空孔欠陥が導入されると周辺にDBが生成されるため、電子放射密度が約20倍に増大した。対照的に、カーボンナノチューブのSW欠陥からの電子放射は小さいことが解った。これは、SW欠陥導入によって欠陥周辺部が凹状に構造変形することが理由であることが解った。 (2)芳香族分子の光学吸収スペクトルの計算 実時間TDDFT法と線形応答理論を利用した周波数TDDFTの両手法を使って、ベンゼンからペンタセンまでの芳香族分子の光学吸収スペクトルを計算したところ、通常のDFTでは得られない実験との良い一致を得た。吸収スペクトルに現れた2つの特徴的なピークの原因を、励起電子状態の電子密度分布から明らかにすることができた。 (II)「空間分割密度汎関数法(PRDF)による三角グラフェンの静電容量」 ナノ構造の静電容量にDBが与える影響を調べる目的で、我々が開発したPRDF法を用いて、三角グラフェンの静電容量の水素終端効果を調べたところ、水素終端により電子状態は大きく変化するにも関らず、静電容量の値はあまり変化しなかった。量子効果の変化が古典静電エネルギー項の変化と相殺したものと考えられる。
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Research Products
(5 results)