2003 Fiscal Year Annual Research Report
組織幹細胞を標的としたレトロウイルスベクターの開発
Project/Area Number |
15609001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
箕口 滋 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60322757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊庭 英夫 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60111449)
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Keywords | 組織幹細胞 / ES細胞 / 遺伝子治療 / レトロウイルスベクター / SWI / SNF複合体 / Brm遺伝子 / ポリコーム遺伝子 / YY1 |
Research Abstract |
本研究では組織幹細胞において発現を維持できるレトロウイルスベクターの開発を目指し、マウスES細胞におけるMuLVの不活性化の分子機構の解明を中心に進めている。クロマチン構造変換因子SWI/SNF複合体のATPaseサブユニットであるBrmタンパク質の発現を欠くヒト癌細胞群においてMuLVベクターの発現が不安定になることを、これまでに我々は明らかにして来た。Polycomb複合体構成因子YY1のDNA結合配列を破壊したウイルスベクターの使用、または異所的なBrmの強制発現などによって、その現象が解消されることから、「LTR上でのtrithorax-G(SWI/SNF複合体)及びPolycombの両複合体の拮抗がMuLVの発現維持を制御する」との作業仮説を立てている。そこで、ES細胞におけるMuLVの不活性化にも、これが当てはまるか否かを中心に、本年度は解析を行った。まず、RT-PCR法によってES細胞がBrmの発現を欠くことを確認した。次に、MuLVのLTR上のYY1結合配列を破壊したベクターを作製し、GFPをレポーターとしたフローサイトメトリーによってその発現を検討したが、YY1配列の破壊はMuLVの不活化を解除することはなかった。この結果から、MuLV発現制御の分子機構においてヒト・マウス間で種差が存在するか、或いはES細胞への感染直後の不活性化には他の分子機構が関与しているとの結論を得た。次に、ESで発現可能なMSCVベクターのLTRにおけるYY1配列の破壊が発現量の増強に働くことを期待し、同様の検討も行ったが、有意な効果は認められなかった。MSCVはESにおいて発現が持続可能であるが、発生過程において個体内で不活性化されることが知られている。今後はYY1結合配列の破壊がMSCVの個体内での発現維持のためにどれほどの効果があるのかを検討していく予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Minoguchi, S., et al.: "Differential control of the NIMA-related kinases, Nek6 and Nek7, by serum stimulation."Biochem Biophys Res Commun.. 301. 899-906 (2003)
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[Publications] Minoguchi, M., et al.: "STAP-2/BKS, an adaptor/docking protein, modulates STAT3 activation in acute-phase response through its YXXQ motif."J Biol Chem.. 278. 11182-11189 (2003)
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[Publications] Joo.A., et al.: "STAT3 and MITE cooperatively induce cellular transformation through upregulation of c-fos expression."Oncogene. 23. 726-734 (2004)
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[Publications] Yamamichi-Nishina, M., et al.: "SW13 cells can transition between two distinct subtypes by switching expression of BRG1 and Brm genes at the post-transcriptional level."J Biol Chem.. 278. 7422-7430 (2003)
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[Publications] Iba, H., et al.: "SWI/SNF chromatin remodelling complex and retroviral gene silencing."Rev Med Virol.. 13. 99-110 (2003)
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[Publications] Shimizu, Y., et al.: "Kinetics of v-src-induced epithelial-mesenchymal transition in developing glandular stomach."Oncogene. 22. 884-893 (2003)