2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15609002
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
斎藤 哲一郎 京都大学, 再生医科学研究所, 助教授 (00202078)
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Keywords | 神経細胞 / 発生・分化 / 神経回路網 / 大脳皮質 / 哺乳動物 / 電気穿孔法 / 転写因子 / 幹細胞 |
Research Abstract |
哺乳動物の神経系は極めて多種多様な細胞種からなり、これらの多様な細胞は、個体発生の特定の時期に神経幹細胞から作られる。しかし、神経幹細胞の性質については未だに不明な点が多い。神経幹細胞の性質がいかに規定されるのかを解明することは、将来、幹細胞を再生医科学へ応用するための基盤として、極めて重要である。本研究では、神経幹細胞の性質を解析するための新しい実験系を開発し、神経幹細胞の性質を分子ベルで詳細に解析した。その結果、神経分化を抑えても、神経幹細胞は個体発生とともに性質を変化させることが明らかとなった。今までの実験で、Notchタンパク質を活性化させると、大脳皮質の神経分化を抑えることを示したが、今回の詳細な解析の結果、活性化したNotchタンパク質(caNotch)の働きで大脳皮質の神経幹細胞は非対称分裂を停止し、対称分裂を続けることにより、神経分化が抑えられることが明らかになった。さらに、Cre-loxPのDNA組換えシステムを応用し、一時的にcaNotchを機能させると、caNotchが機能している間は神経分化が抑えられるが、caNotch機能が解除されると、神経分化が再開することが示された。この時に分化する神経細胞は、caNotchを解除した時点で生まれるべき神経細胞であり、caNotchが作用している間に生まれるべき神経細胞の産生ステップをスキップしたことが示された。つまり、神経幹細胞は神経分化を抑えられても、時間とともに性質を変化させ、初期の能力を失っていくことが初めて明らかとなった。
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Research Products
(3 results)