2003 Fiscal Year Annual Research Report
計算的プロテオーム解析による核外移行シグナルの同定
Project/Area Number |
15650054
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
井本 正哉 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (60213253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 康文 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (10287427)
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Keywords | 核外移行シグナル / レプトマイシン / プロテオーム / 隠れマルコフモデル / 遺伝的アルゴリズム / プロファイル |
Research Abstract |
細胞質と核の間でのタンパク質の物質移行は、細胞周期、アポトーシスなどの細胞応答の制御に重要である。核外へ移行するタンパク質は核外移行シグナル(NES)を介して核外移行分子CRM1に結合して核外へ移行する。NES配列はロイシンに富んだ配列であり、そのコンセンサス配列もいくつか提案されているが、そのアミノ酸配列には厳格性がないことから、タンパク質がNES依存的な核外移行をするかどうかを決定する計算的手法はまだ存在しない。一方、抗真菌抗生物質であるレプトマイシン(LPM)は特異的にCRM1に結合して、NESとCRM1の結合を阻害し、タンパク質の核外移行を阻害する。そこで、動物細胞をLPM処理し、核内に蓄積したタンパク質を2次元電気泳動により分離し、同定することを試みた。ヒト食道癌細胞HeLa細胞のLPM処理/未処理細胞から核抽出物を得た後、核内に蓄積したタンパク質を2次元電気泳動により分離・検出した。その結果、LPMで処理した核画分で未処理細胞の核画分より2倍以上発現量の多かったスポットを142個見い出した。さらにTOF/Massでの同定の結果、45個のタンパク質を同定した。このうち5個はNES配列を有するタンパク質として既に報告されている。一方、バイオインフォマティクスの技術を用いた研究として、今年度は、まず現在までに確認されているNES配列をインターネット上の配列データベースから収集し、次にそのデータを用いてプロファイル型隠れマルコフモデルを推定した。クロスバリデイションなどの統計的検定により、このモデルは高い精度でNES配列のモチーフを表現していることが確認された。さらに、分子生物学の実験のために、効率よくNES配列に変異を加える方法として、遺伝的アルゴリズムと推定された隠れマルコフモデルを組合わせる手法を開発した。この手法により予測された位置に点変異を導入することにより、モデルにより同定されたNES配列が核外移行シグナルとして機能していることを実験により確認することが可能となる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Sakakibara: "Pair Hidden Markov Models on Tree Structures"Bioinformatics. 19. i232-i240 (2003)
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[Publications] Y.Sakakibara: "DNA-based Algorithms for Learning Boolean Formulae"Natural Computing. 2. 153-171 (2003)
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[Publications] E.Tashiro et al.: "Regulation of FGF receptor-2 expression by transcription factor E2F-1"Oncogene. 22. 5630-5635 (2003)
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[Publications] M.Kawatani et al.: "Deletion of the BH1 Domain of Bcl-2 Accelerates Apoptosis by Acting in a Dominant Negative Fashion"J.Biol.Chem.. 278. 19732-19742 (2003)
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[Publications] M.Kawatani et al.: "Transmembrane domain of Bcl-2 is required for inhibition of ceramide synthesis, but not cytochrome c release in the pathway of inostamycin-induced apoptosis"Exp.Cell Res.. 286. 57-66 (2003)
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[Publications] E.Tashiro et al.: "Overexpression of Cyclin D1 Contributes to Malignancy by Up-Regulation of FGF Receptor 1 via the pRB/E2F Pathway."Cancer Res.. 63. 424-431 (2003)