2003 Fiscal Year Annual Research Report
ニホンザルの選択的道具使用に随伴して獲得される参照的随意発声の中枢神経機構
Project/Area Number |
15650056
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
入來 篤史 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70184843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 美智雄 東京医科歯科大学, 歯学部, 教務職員 (00057738)
岡ノ谷 一夫 千葉大学, 文学部, 助教授 (30211121)
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Keywords | ニホンザル / 随意発声 / 大脳皮質 / 神経活動 |
Research Abstract |
本研究は従来まで神経科学的研究の対象とは見なされていなかった、霊長類の参照的随意発声の制御メカニズムをニホンザルにおいて行動学的・神経生理・解剖学的手法を組み合わせることにより検討しようとするものである。本年度はまず、第一段階として1)参照的随意発声実験系の確立、2)体性感覚野口腔領域における神経活動の記録、3)可逆的破壊機器類の開発、を行なった。 1)実験系の確立:参照的随意発生実験に使用する音声を決定するため、ニホンザルにおいて実験室内で発声される音声のレパートリーについて検討した。実験室内の異なる文脈においてニホンザルは4種類の音声を発声し、さらにそのうち一つの音声に関しては全く異なる顔面運動で類似の音声が発声されることが判明した。次年度以降は、これらの音声をサルに意図的に発声できるか否か検討し、さちに、その学習過程を行動学的・音響学的に解析していく予定である。 2)大脳皮質神経活動の記録:口控内体性感覚情報の発声時における機能的役割を検討するため、一次体性感覚野口腔領域近傍〜頭頂連合野において慢性電気生理学的実験を行った。咀嚼運動時に活動するニューロン群の活動は計測できたものの、発声時に特異的に活動を示すニューロンの計測は出来なかった。次年度以降も引き続きニューロン活動の計測を行い、発声における体性感覚野の果たす役割について検討していく。 3)可逆的破壊機器の開発:可逆的破壊実験(大脳皮質を局部的に可逆的破壊する)を行うため、まず手法・機器類の開発を行った。硬膜外から薬品・冷却操作を加え大脳皮質の機能を低下させることにより、可逆的機能抑制を誘発させることを検討したが、硬膜外からの操作では十分な機能抑制は誘発出来なかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Obayashi S, Suhara T, Kawabe K, Okauchi T, Maeda J, Nagai Y, Iriki A.: "Fronto-parieto-cerebellar interaction associated with intermanual transfer of monkey tool use learning"Neuroscience Letter. 339(2). 123-126 (2003)
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[Publications] Hihara S, Obayashi S, Iriki A.: "Rapid learning of multiple-tool usages bymacaque monkeys."Physiology and Behavevior. 78(3). 427-434 (2003)
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[Publications] Hihara S, Yamada H, Iriki A, Okanoya K.: "Spontaneous vocal differentiation of coo-calls for tools and food in Japanese monkeys"Neuroscience Research. 45(4). 383-389 (2003)
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[Publications] Yokochi H, Tanaka M, Kumashiro M, Iriki A.: "Inferior parietal somatosensory neurons coding face-hand coordination in Japanese macaques"Somatosensory Motor Research. 20(2). 115-125 (2003)
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[Publications] Kumashiro M, Ishibashi H, Uchiyama Y, Itakura S, Murata A, Iriki A.: "Natural imitation induced by joint attention in Japanese monkeys"International Journal of Psychophysiology. 50(1-2). 81-99 (2003)
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[Publications] Shinagawa H, Ono T, Ishiwata Y, Honda E, Sasaki T, Taira M, Iriki A, Kuroda T: "Hemispheric dominance of tongue control depends on the chewing-side preference"Journal of Dental Research. 82(4). 278-283 (2003)