2004 Fiscal Year Annual Research Report
ニホンザルの選択的道具使用に随伴して獲得される参照的随意発声の中枢神経機構
Project/Area Number |
15650056
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
入來 篤史 国立大学法人東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70184843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡ノ谷 一夫 千葉大学, 文学部, 助教授 (30211121)
田中 美智雄 国立大学法人東京医科歯科大学, 歯学部, 教務職員 (00057738)
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Keywords | ニホンザル / 道具使用 / 随意発声 / 大脳皮質 |
Research Abstract |
前年度までの研究成果をもとに立てられた作業仮説に基づいて、本年度は以下の成果が得られた。 1、実験系の確立・実行(行動学的・音響学的解析) (1)選択的道具操作訓練:ニホンザルに道具を操作することにより報酬を獲得できるよう2週間訓練すると、わずかな訓練で報酬の提示する位置の変化に応じて、その状況に適した道具を選択し報酬を獲得できるようになった。 (2)発声訓練:ニホンザルが自発的に発声する4種類の音声の中から、クーコールと呼ばれる音声を実験室内で発声するよう訓練でき、さらに道具使用とこの条件付けとを組み合わせて訓練することにより、異なる2つの事物(道具、報酬)に対して音声を自発的に分化させ使い分けることが判明した。 (3)齧歯類モデル:霊長類の道具-発声研究の神経・物質基盤をより効果的に研究するためのモデル動物として、齧歯類であるデグーが道具使用および発声行動を表出することを見出し、モデル実験系を確立した。 2、神経生理学的解析 (1)大脳皮質神経活動の記録:上記の行動を遂行するにあたり、体性感覚情報を統合する大脳皮質体性感覚野の機能的役割を検討するため、ニホンザルの一次体性感覚野(口腔・手指・腕)〜頭頂連合野において慢性的単一ニューロン記録を行った。その結果、発声運動に特異的に活動するニューロン群は観測出来なかったものの、道具操作、咀嚼運動、顎運動に関連するニューロン群の活動はが確認され、その相互関係を検討して発声行動を構成する神経基盤を解析した。 (2)電気刺激実験:霊長類において電気刺激実験を行う為の予備実験として、音声レパートリーの多い齧歯類(デグーおよび近縁種のモルモット)を用いて、微小電気刺激実験を行った。辺縁系(中脳中心灰白室)、帯状回および運動野を含む大脳皮質外側部の刺激による、発声および顎運動の誘発様式を比較し、道具使用を発現する随意運動系との相互作用について検討した。
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Research Products
(7 results)