2003 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質・視床間の特異的投射形成における遺伝子再構成産物の関与
Project/Area Number |
15650065
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
安藤 康一 福井大学, 医学部, 助手 (70334810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 真 福井大学, 医学部, 教授 (10222019)
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Keywords | 大脳皮質 / 視床 / 投射形成 / 遺伝子再構成 / T細胞受容体 |
Research Abstract |
視覚野はカラム構造をとっており,一次視覚野の各カラムは外側膝状体と一対一の特異的投射を形成している.近年の研究結果より,これらの投射は神経活動に依存せず,胎生期より特異的な投射経路を選択して形成されることが示唆されている.この特異的な投射形成には多数の細胞表面分子が必要と考えられ,限られたゲノムから多様な分子を産生することができるT細胞受容体(TCR)は,この表面分子の候補としてふさわしいと考えられた.本研究の目的は,大脳皮質,視床間の選択的投射形成におけるTCRなどの遺伝子再構成産物の関与を明らかにすることである. 大脳におけるTCR発現の検討 大脳皮質,視床でのTCRの発現をin situ hybridizationにより検討した.TCRα鎖のconstant regionをprobeとして検討した結果,大脳皮質深層に発現が認められた.さらに,発現しているTCRが遺伝子再構成を終えた分子であるか検討するため,大脳皮質よりmRNAを抽出しRT-PCRにより遺伝子産物の配列を確認することを試みているが,現在までのところ再構成の存在は確認できていない.その原因のひとつとして,再構成を終えていない細胞も混在する混合集団をサンプルとして用いるため,再構成を終えていない段階での転写産物が大量に混入している可能性が考えられる.そこで,今後は神経幹細胞を単離し均一な細胞集団を得た上で,RT-PCRを行い,遺伝子再構成の存在を確認するとともに,ゲノムレベルでの検討も行う予定である.また,これらの遺伝子産物が実際にタンパク質に翻訳され,分子として機能しているかどうかの検討も併せて行う予定である.
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