2003 Fiscal Year Annual Research Report
位置特定を容易にする早期乳がんマイクロ波イメージングの試み
Project/Area Number |
15650091
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
宮川 道夫 新潟大学, 工学部, 教授 (50239357)
|
Keywords | 早期がん / 画像診断 / マイクロ波CT / レーダ / 2方向イメージング / FDTD法 / シミュレーション / 空間分解能 |
Research Abstract |
腫瘍組織の電気特性が早期から正常組織のそれと異なる値を示すことから、電気特性の値を画像計測して早期乳がんの新しい画像診断に道を開くのが本研究の目的である。本研究では、分解能的に不利な波長の長い波動を使ってイメージングを行うため、胸壁に平行な乳房断面の撮像をチャープパルスマイクロ波CT(CP-MCT)で行い、このCT断面に直交する方向のイメージングをレーダ技術を応用して行う。今年度得られた成果は次の通りである。 (1)2.5GHzを中心とするCP-MCTの使用を前提として,二次元および三次元乳房モデル中に仮定した直径20mmの腫瘍検出可能性を示した。FDTD法を基本とした余効関数法を用いて球形で模擬した腫瘍がCT画像上でどの程度明瞭に区別できるか検討した。腫瘍径を15mmとした時、二次元では形状,位置ともきわめて正確に描出されたが、三次元モデルでは完璧には排除できない散乱・回折の影響から腫瘍像は二次元ほど明確ではなくなることが判明した。 (2)乳房を正面から見たレーダイメージングの数値シュミレーションを行った。中心周波数2.5GHz、帯域1GHzのガウスパルスを点波源から乳房に向けて照射し、皮膚層以遠の領域から反射される波動成分だけを全て送信位置で計測できることを仮定して、これを一定時刻まで積分する。各点でこの計測を繰り返すことを想定してFDTD法によりレーダ画像を求めた。いわば、架空のレーダ画像であるが、直径を相当小さくしても正しい位置にボケて大きめの腫瘍像を得ることができた。 以上の結果より、位置特定を容易にするために直交する2方向から腫瘍像を描出しようとする本研究の基本的な考え方は妥当なものであることが明確となった。ただし,レーダイメージングでは、実際に計測を可能とする具体的な方法を見出す必要がある。
|
-
[Publications] M.Miyakawa, E.Harada, Wu Jing: "Chirp Pulse Microwave Computed Tomography (CP-MCT) equipped with a fan beam scanner for high-speed imaging of a biological target"Proceeding of 25^<th> Annual International Conference on Engineering in Medicine and Biology Society. 1031-1034 (2003)
-
[Publications] 宮川道夫, 菅原邦義, 原田枝実子: "CP-MCTによる生体イメージング-数値計算手法に基づく頭部と乳房の撮像-"第42回日本エム・イー学会大会論文集. 41. 535 (2003)
-
[Publications] 石田倫生, 酒井智之, 宮川道夫, 保科紳一郎: "CP-MCTによる早期乳癌の撮像-数値計算による診断可能性"電子情報通信学会大会論文誌. D-II(印刷中). (2004)