2004 Fiscal Year Annual Research Report
生体の非線形光学効果を用いた真皮コラーゲン線維配向のin situトモグラフィー
Project/Area Number |
15650094
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安井 武史 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (70314408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 勉 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (50136214)
東野 義之 奈良県立医科大学, 医学科, 教授 (40075023)
秀 道広 広島大学, 大学院・医歯薬総合研究科, 教授 (50284188)
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Keywords | コラーゲン / 配向 / 真皮 / 非線形光学効果 / 第2高調波発生光 / フェムト秒レーザー |
Research Abstract |
真皮コラーゲン線維は皮膚の形態的及び機能的特性を決定する上で重要な役割を果たしていることから、その構造のin situ診断技術が臨床及び基礎医学の分野で望まれている。本研究では、コラーゲン分子自身の非線形光学特性と超短パルス光との相互作用の結果として誘起される第2高調波発生光(生体SHG光)に着目し、真皮コラーゲン線維の配向分布測定に関する研究を行った。 今年度は、真皮コラーゲン線維の3次元配向分布測定を実現するため、深さ分解SHG偏光イメージングシステムを開発した。ここでは、組織深部に対しても適用が可能なように反射共焦点顕微光学系を導入することにより、面内空間分解能1.5μm、深さ分解能15μmの基本特性を得た。また、ヒト組織サンプルに応用し、硬組織において150μm、軟組織において300μmのプローブ可能深度を得た。さらに、ヒト組織サンプルにおけるコラーゲン線維配向の3次元分布測定を行ったところ、ヒト距骨では骨陵と平行なコラーゲン配向が3次元的に分布していることが確認された。一方、ヒト真皮では上層(乳頭真皮)及び下層(網状真皮)におけるコラーゲン線維構造の明確な相違を観測した。例えば、乳頭真皮ではキメの細かいコラーゲン線維構造が観察されたのに対し、網状真皮では太く発達したコラーゲン線維が縦横に絡み合って分布している様子が確認された。最後に、ヒト前腕のin situ測定を行った。その結果、レーザー安全照射レベルにおいて、表皮越しに真皮コラーゲン線維から生体SHG光を観測した。また、偏光解析イメージングの結果から、前腕が伸縮しやすい方向に沿ってコラーゲン線維が配向分布していることも確認した。 これらの結果から、本手法が真皮コラーゲン線維構造のin situ診断技術として有用であるという結論を得た。
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Research Products
(6 results)