Research Abstract |
喉頭運動・舌骨上筋群筋電図・嚥下音を同時測定できるシステムを構築し,嚥下評価パラメータを算出するプログラムを開発した.評価パラメータは,以下の9個の時間パラメータとした.1)t_<0,1>:飲み込みの合図開始から筋活動開始までの時間;2)t_<1,9>:筋活動時間;3)t_<1,2>筋活動開始から喉頭挙上開始までの時間;4)t_<2,3>:喉頭の挙上初期時間;5)t_<3,4>:喉頭の挙上後期時間;6)t_<5,6>:喉頭の下降初期時間;7)t_<6,7>:喉頭の下降後期時間;8)t_<2,7>:喉頭の上下運動時間;9)t_<2,8>喉頭挙上開始から嚥下音発生までの時間. 嚥下障害の一つである誤嚥の原因には,喉頭の運動速度の低下,喉頭の運動開始の遅れ,喉頭蓋の気道閉鎖時刻の遅れが考えられる.喉頭の運動速度の低下は,パラメータt_<2,3>+t_<3,4>の延長で近似的に評価できる.また,喉頭の運動開始の遅れはパラメータt_<1,2>の延長で評価でき,喉頭蓋の気道閉鎖時刻の遅れはパラメータt_<2,8>の延長で評価できる. 水飲み込み時における健常者の嚥下動態を測定した結果,同一個人内では,提案したパラメータ値の再現性が高いことがわかった.よって,健常者での平均値を決定することにより,提案したパラメータが誤嚥評価パラメータとして有効であることを確認した.さらに,前頸部圧迫により負荷を与え,ぞの前後での喉頭運動を測定した結果,前頸部圧迫によりパラメータt_<3,4>が延長する傾向にあることが確認できた.さらに,嚥下機能の低下した高齢者での変化量は,若年者での変化量より大きいことも確認できた.このことから,前頸部圧迫前後におけるパラメータt_<3,4>の変化量から,喉頭挙上力を推定できる可能性があることを確認した.
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