Research Abstract |
本年度は,「わかっていてもできない」学習課題としての無意味動作系列の作成を中心に研究を進めた. その一つは,肘・肩関節と股・膝関節の屈曲と伸展を組み合わせて,前額面で左右対称な姿勢を44姿勢作成し,この44姿勢間の移動によって生じる関節変化数のマトリックスから,左右合わせて関節変化数がすべて1となる9姿勢からなる系列と11姿勢からなる系列を2系列ずつ作成し,また同様に関節変化数が4となる系列も9姿勢の系列と11姿勢の系列をそれぞれ2つずつ作成した. これらの4種類の2系列ずつ,合計8系列について,実写モデルによる撮影を行った.各姿勢の停止時間を1秒間とし,また各姿勢間の移動時間も1秒間となるように指示し,系列を練習後,メトロノーム音にあわせて実施し,撮影した.しかしながら,撮影した系列を分析したところ,各姿勢の停止時間ならびに姿勢間の移動時間にばらつきが見られ,学習課題系列としては不十分であることが判明した.また,「わかる」ことと「できること」を区別するため,再認及び再生(模倣)課題を行うには,系列数が少なく,その原因は基本姿勢の数にも関係することから,次に,基本姿勢を非対称姿勢とし,これらの姿勢系列をコンピュータグラフィクス(CG)で作成することを試みた. ここでは,変化する関節は肩関節,肘関節の2関節とした.またその肢位は肩関節の0度,45度,90度,135度,180度のそれぞれ外転位,肘関節の0度と90度の屈曲位の組み合わせで片側5×2の10肢位であるが,肩関節180度外転位と肘関節90度の屈曲位の姿勢は特徴的であると考えられたため除外し,片側9肢位とした.したがって,これらの左右の組み合わせから9×9の81姿勢を基本姿勢とした.対象姿勢のときと同様,これら81姿勢間の関節変化数に関するマトリックスを作成し,三関節変化数が1と4という異なる関節変化数になる系列が作成できるようにした.現段階では,この関節変化数が1と4の2種類の姿勢系列について,その長さが1から6までの6種類の異なる長さの系列をそれぞれ8種類ずつ用意するようにした.そしてまず,これらの81の基本姿勢をCGとして表現し,その後,姿勢系列になるように姿勢間の移動を2姿勢間の補完により作成した.
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