2005 Fiscal Year Annual Research Report
ボディワークによる生理心理学的変化の検討-背中への接触・振動に伴う心身への影響-
Project/Area Number |
15650128
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高柳 茂美 九州大学, 健康科学センター, 講師 (80216796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 秋三 九州大学, 健康科学センター, 教授 (80145193)
永野 純 九州大学, 健康科学センター, 助教授 (10325483)
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Keywords | ボディートーク / 状態-特性不安 / 感情状態 / 免疫能 / ボディーワーク / からだほぐし / リラクセーション |
Research Abstract |
本研究では、ボディワークの中でも、身体接触をすることで心身をリラックスさせ、筋・骨格系のゆがみを修正する技法(ボディトーク)による介入が、唾液コルチゾール値や状態不安に及ぼす影響について検討する。 対象者は、不安や緊張が強く生活に支障をきたしているが、医療機関やカウンセリング機関等へは通っていない5歳〜12歳の男女およびその保護者である。 また、ボディートークの効果を検討するため、コントロールとして自律訓練法を実施した。 親子18組37名(父親1名・母親17名・男児13名5〜12歳・女児6名7〜12歳)を性別や年齢の偏りがないようにグループ1とグループ2の2群に無作為に分けた。その上でグループ1にははじめの3週間に自律訓練法、あとの3週間にボディートークを毎日自宅で行ってもらった。グループ2は反対にはじめの3週間にボディートーク、あとの3週間に自律訓練法を毎日自宅で行ってもらった。なお、各グループとも1週間に1度ずつボディートークまたは自律訓練法のグループ研修を行った。 その結果、グループ4、グループ2ともに保護者ではプログラム実施前後で状態不安と唾液コルチゾールの両方に有意差が認められた。この結果から、自律訓練法およびボディートークが短時間の練習のみでも大人にはリラクセーション効果をもたらすと考えられる。その他にプログラム実施後は実施前に比べて会場の環境に慣れてきたことによりリラックスできた可能性もある。 グループ1の小児では、プログラム実施前後で状態不安にも唾液コルチゾール値にも有意差は認められなかった。一方グループ2の小児では唾液コルチゾール値は認められなかったが、状態不安に有意差が認められた。自律訓練法では保護者と小児の間に直接の身体的接触はなく、言語を介して身体に働きかける。そのため小児が技法を習得するには時間がかかるのではないかと考えられる。また、小児には自律訓練法の意義を理解するのが難しく、そのため習得に対するモチベーションを保ちにくいとも考えられる。他方、ボディートークでは「からだほぐし」として親子でのお互いの身体的接触の機会が多い。さらに、ひとりで行う技法であってもボディートークは身体に働きかけたり、身体的表現を行ったりできるため、小児であっても効果が得られやすいことが推察される。
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