2003 Fiscal Year Annual Research Report
海馬の神経活動は低強度運動で活性化されうるか?:局所血流量からの検討
Project/Area Number |
15650129
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
征矢 英昭 筑波大学, 体育科学系, 助教授 (50221346)
|
Keywords | 海馬 / 低強度運動 / 局所血流量 / レーザードップラー血流測定法 |
Research Abstract |
本研究は,海馬の神経活動が低強度運動でも興奮しうるかについて,レーザードップラー血流測定法による走運動時の海馬局所血流量(hCBF, hippocampal cerebral blood flow)の測定法を開発し,これを用いて検討することを目的とした.実験には12週齢のWistar系雄性ラットを用いた.ラットには,30〜60分/日,計6日間の走行学習を施した.尚,同様の走行学習によりトレーニングされたラットの乳酸性作業閾値はおよそ15〜20m/minであることを確認している.hCBFの測定にはOMEGAWAVE社製のレーザードップラー血流計(FLO-C1)を用いた.レーザードップラ血流測定法は,プローブや被験動物の動きによるノイズの影響を受けやすいことが欠点のひとつとされ,走運動時のhCBF測定法の確立には,この点をいかに改善するが最大の課題であった.本研究では,あらかじめ海馬に挿入されたガイドカニューラを介して光ファイバー製プローブを固定した.また走行学習を施すことにより,ラットは前方を向きながら一定のリズムで走るための頭部の位置は比較的安定する.これらの工夫によりノイズの影響を最小限に抑え,走運動時にhCBFを測定することが可能となった.実験ではまず漸増負荷走運動テスト(5〜25m/min)でのhCBFを測定した.hCBFは走運動開始と同時に増加し,走運動中は強度依存的に増加した.続いて,2時間の低強度走運動テスト(10m/min)におけるhCBFを測定した.hCBFは安静時のレベルから142.7%増加し,走運動中は一定の値を示した.走運動中,静脈血中パラメーター(pH, PO_2,POC_2, Gucose Lactate, Osmolality)はほぼ一定の値を示した.現在,走運動時のhCBFの増加が神経活動に依存するか否かを調べるために,Na^+チャネル阻害薬であるテトロドトキシン(TTX)投与し,神経活動の抑制が運動中のhCBF増加を抑制しうるか検討中である.本研究により,レーザードップラー血流測定法を用いた走運動時のhCBF測定法を確立することができた.これにより,低強度走運動時にhCBFが増加することが明らかとなった.この血流増加が神経活動に依存するかは現在検討中である.
|