2003 Fiscal Year Annual Research Report
動的バランスからみた高齢者の階段昇降動作の基礎的研究
Project/Area Number |
15650146
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Research Institution | Nagoya Management Junior College |
Principal Investigator |
岡本 敦 名古屋経営短期大学, 経営情報科, 助教授 (10233371)
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Keywords | 高齢者 / 階段昇降動作 / 3次元動作解析 / 身体重心 / 動的バランス制御 |
Research Abstract |
高齢者の階段昇降動作の運動力学的な基礎的知見を得るために、18歳から68歳の健康な成人男子15名(39.7歳±17.8歳1.70±0.06m、65.9±10.3kg:平均値±標準偏差)の階段昇降動作を、シャッターを同期した4台のビデオカメラで撮影し3次元動作解析した。そして階段昇降動作中の身体と身体重心の矢状面内の位置関係について検討した。ここでは被験者の中で最も階段を下りる速度の速かった例について報告する。階段を下りる速度が最も速かった被験者の階段を上る局面では、前足が階段に着地した瞬間の身体重心の位置は、ほぼ後ろ足のつま先上にあることが分かった。また、階段を下りる局面では、前足の着地時に身体重心は後ろ足のつま先から前方へ9.2cmの位置にあり、後ろ足のつま先と身体重心のなす角は垂線から前方へ7.3度前傾していることが明らかとなった。これらの結果より、階段を上る局面では前足が着地する瞬間までは身体重心が基底面となる後ろ足の中にあるのに対して、階段を下りる局面では、前足が着地する瞬間にはすでに身体重心は基底面である後ろ足よりも前方へ位置しており、倒れ込みながら階段を下りていることが明らかとなった。以上の結果より、階段昇降動作を運動力学的観点から検討した結果、身体の動的なバランスという意味では、上る局面より下りる局面の方がより不安定な状態で移動していることが明らかとなった。今後これらの動的なバランス制御と加齢との関係について検討し、高齢者が階段昇降動作をより安全に行うための運動力学的指針を明らかにする予定である。
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