2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15650148
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
金澤 等 国立大学法人福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (50143128)
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Keywords | 繊維素材 / 吸着 / 水質浄化 / アルコール / 有機化合物 |
Research Abstract |
繊維状物質の吸着特性の基礎的な研究を行い、水中の汚染物質を除去できる材料としての有効利用の可能性を検討する。これまでの研究で、各種繊維素材は分子構造の違いにより、気体状の有機化合物を選択的に吸着する傾向のあることがわかった。今年度は、水中に溶存する有機化合物の種々の繊維に対する吸着特性について検討した。 先ず、吸着材料として、絹、セルロース繊維(木綿、レーヨン)、羊毛、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレンの各繊維を選んだ。一方、水中に存在する有機化合物は、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノールを選んだ。これらのアルコールの個々について、その濃度を1-8%(体積)とした水溶液を調整した。この各水溶液を裁断繊維を詰めたカラムに流し、溶出液を時間ごとに採取して、ガスクロマトグラフィーによる分析を行い、繊維に対する吸着量を求めた。その結果、以下のようなことがわかった。 (1)各種繊維の全てが、水中に溶存する全てのアルコールを吸着する。従って、その回収/除去に有効である。 (2)繊維の種類による吸着能の大きな差は見られない。但し、羊毛のみが吸着量が少し少ない(これは羊毛の表面がスケールで覆われているためであると考えた)。 (3)アルコールは、その構造に寄って、より吸着しやすいものがあり、その傾向は各種繊維に共通である。吸着量の大きい順に並べると次のようになった。2-プロパノール、イソブタノール、メタノール、エタノール、tert-ブタノール、1-プロパノール、ブタノールの順。このことは、アルコールの分子形態および極性基と非極性基のバランスと密接な関係があると考えられた。 また、これらの繊維を用いて、水中に存在する染料および界面活性剤の回収を行い、有効な結果が得られた。さらに、トリハロメタンの吸着等の現実的な問題を検討して次年度で総括する。
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